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幸せを願う嘘。


「もう戦いは終わった。俺が片を付けてきた。だから、もう暫くお前は戦わなくていい」
「ほんとに?」
 嬉しそうに彼女は笑う。
 でもほんとは嘘。全然終わってないし、多分まだたくさんの人が死ぬ。
 人を殺すたび部屋で一人泣いて苦しんでるのを俺は知ってるから、もう苦しませたくないんだ。
「ほんとに決まってんだろ」
 ごめん。こんな嘘ついて。俺サイテーだな。
「早く寝ろよ」
 頭をくしゃくしゃと撫でて部屋を出た。

   *

 多分。ジュダルは嘘をついてる。戦いなんて終わってなくて、また明日から人を殺しに行くんだ。
 お兄ちゃんは優しいね。
 涙があふれる。
 今泣いたら扉の向こうにいるジュダルにばれちゃうよ。
 せっかく、笑ったのに。
 ジュダルの嘘に嘘を重ねたのに。
 頭を撫でられた感覚がまだ残っていて、涙は止まってくれなかった。


(13/02/13)
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