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たんじょうびまであと少し


 美しい花になりたい。
 彼のそばに、釣り合うように、咲き続けたい。
 そう願うようになったのはいつからか。
 ばかみたいだなぁと思いながら時計を見つめる。
 あと6分。針が6回動けば日付が変わる。そして、誕生日をむかえる。
 彼は誕生日を祝ってくれるだろうか。
 美しければ愛される自信にも繋がるのに。
ぐるぐる回る思いとともに時計の針は進んでいく。
 あと少し。
 誕生日ってこんなにそわそわしたかしら。
あと1分、そんな時だった。
 携帯電話が鳴った。画面に表示される名前は彼の妹。
「もしもし?」
 電話を取る。
「これで私が1番乗り!」
 電話の向こう側、喜ぶ彼女の顔が浮かぶ。
心の中でカウントダウンを始めた。10、9……0。
「誕生日おめでとう」
 聞こえて来た声は、間違いなく彼の声だった。
「どうして、」
「見せつけるように電話されたんじゃたまったもんじゃねえ」
「嫉妬だね」
「はぁ?」
 うるさい喧嘩が聞こえ始めた。
 いつもと同じ。それは幸せの証。
 こんなに幸せな誕生日が始まったのだから、美しい花になる必要はないのかもしれない。
 やはり馬鹿げていたと気付いて笑ったら、2人になに笑ってるんだと怒られてしまった。


おわり。

おめでとうございました。

(14/07/28)
Privatter
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