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※お相手は想像にお任せします。


 突然、自分でもよくわからないけど泣いてしまった。というより、泣いてるつもりなんてないのに涙が頬をずっと伝っていた。手では拭い切れなくて、「どうしてなのよ!」と叫んでしまった。
「大丈夫?」
「……っ! 気安く触れないでよ」
 頭に触れた彼の手を思わず振り払ってしまった。
 ああ、これは純粋な彼の優しさなのに。
「あっごめん。大丈夫?」
「大丈夫だから気にしないで」
 何で彼なの、あの人じゃないのって思いが邪魔をして素直に受け入れられない。
「でも、」
「本当に何ともないのよ。勝手に溢れてくるだけだから。もうどこかへ行ってくださらないかしら。見てほしくないのよ」
 泣いている姿なんて誰にも見られたくないわ。
「そうだよね。じゃあ……」
 彼は不安そうにこの場を去って行った。
 一人になった。そうしたのは自分なのに……ますます涙は止まらない。
「ねえ、誰か……」
 小さな呟きは風に消えた。
「泣いてんじゃねーよ、バカ」
 消えたはずだったのに、頭の上には求めていた人の温もりがありました。


おわり。

(14/07/09)
Privatter
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