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 花が折れた。枯れたのではなく折れた。その時嫌な予感がして彼は大切な人を探しました。
 必死に、その人の名前を呼びながら。いなくならないでくれ、ただそれだけを願って。
 どのくらい走ったか時間も距離もわからなくなった。それでも彼は諦めませんでした。そして彼はついに大切な人を見つけたのです。
「りょーちゃん」
 彼女は弱った身体で、でもいつもの笑みで彼の名前を呼びました。
 だから彼も「咲羅」いつものトーンで呼んで抱きしめました。


 花が枯れていくように、いつか、二人がいなくなってしまうんじゃないかと唐突に不安になる時がある。ただ漠然と思う。
 繋がりは消して枯れることなんてないのに。そんなことわかってる。信用してないわけでもない。
 自分でもわからない。わからないけど、苦しくて泣きそうで、なのに「りお」って名前を呼ばれるたびそんなの消えしまう。
 いっそずっと消えていてくれたらいいのに……。
 彼女は1人抱えた思いに不安と安心を繰り返す。


(14/05/17)
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