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デート


「一緒に映画行こう」
 恋愛映画が見たいけど男一人も、男と行くのもあれだから一緒に行ってほしいと頼んだ。でもまぁ実際のところそれは言い訳で、那智と二人きりでデートがしたかった。
「……仕方ないな」
 そんなことを知らず、ただ遊びに行く感覚でオッケーしてくれたんだと思う。だけど 、嬉しかった。

 休みの日、一緒に映画を見た。
「あの子可愛かったなー」
「あぁいうのがタイプだった?」
 俺の感想に彼女の足が止まる。純粋な疑問でただ考えるために足を止めたんだと思うけど、ずるい。
「いや、タイプはお前だし」
「は?」
「好きでもないやつと二人きりになるほど俺は軽くないよ」
 驚く彼女に追い打ちをかけた。
「……ばかか」
 彼女は短い髪を揺らし、照れくさそうに笑う。
「ばかだね」
 俺も笑う。彼女を好きすぎる俺はばかだと思う。
「……」
「那智」
 彼女の名前を呼ぶ。
「なんだよ」
「デートの続き」
 俺は勝手に手を繋いで、歩きだした。

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