いい双子の日


「いい双子の日！」
「……」
　いつも彼女は唐突だ。
「テレビでやってたんだけどね、一緒に双子コーデしよう」
「嫌だ」
　何故わざわざ女子らしいことを俺としたがるのか。
「言うと思った」
「！？」
　予想外の返しに戸惑う。
「だからこれ」
　そう言って彼女が出したのは銀のシンプルなブレスレットだった。
「……」
「これならイリヤちゃんもつけれるかなって」
「あ、ありがとう」
　こういうことしてくるとは思わなかった。なんかドキドキする。
「早くつけて。これね、お星さまなの。ハートが人気だってお店の人は言ってたんだけどね」
　今日テレビでって言ってたけどもしかして前もって準備してた？　そんなこと出来るのか？誰かの入れ知恵か？　アリババは出来そうにないからカシム……？
「イリヤちゃん？」
「あ、いや」
「私だって一人で色々出来るんだからね！」
　知らないだけで出来るのかもしれないな。
「うん。よくできました」
「えへへ。今日に限らずつけてね」
「ああ」


(13/11/25)
イリシーなのかシーイリなのか