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イリヤ詰め合わせ

【×ジュダル】


①戦い
「もうやだよ……」
 イリヤは部屋で一人連日の戦いを思い出していたら自然と涙が溢れていた。きっと今日もまた誰かを傷つける。
 戦いたくない。
 でも戦わなくてはならない。
「何泣いてんだよ」
「……!? お兄ちゃん勝手に入って来ないでって言ってるでしょ」
 兄、ジュダルの登場に慌てて涙を拭う。
「はは。相変わらず優しいやつだな」
 ポンポンとイリヤの頭を叩く。
「えっあ……」
 笑われて怒ろうと思ったが予想外の行動をとられてどうしたらいいかわからなくなってしまった。
「ほら、行くぞ」
 ジュダルはイリヤに手を差し出した。
「……うん」
 イリヤはその手をしっかりと握り、立ち上がった。
 戦いは終わらない。


②お題:キスマーク
「キスマークは自分のモノだという証なんだよ!」
 と、アリババがアラジンに興奮気味に話していたのをイリヤは思い出した。
 ――でもつけられた方は嫌じゃないかな。見られたときのこととかあるし……そうだ!
 イリヤはあることを思いついた。
 ――もしも朝起きたときキスマークがついていたらジュダルはどんな反応をするだろう?
 最近兄、ジュダルはアラジンにばかり興味を持ち、イリヤを構わなくなっていた。たまに話すことと言えば嫌いな戦いのことばかり。
 そんなジュダルにいたずらしてやろうと思いついたのだ。
 別に兄妹仲良くしたいとかそう言うわけではない。ただ、戦い以外のことも話したいそれだけ。

 夜、ジュダルが眠る隣の部屋に入り込んだ。
 起こさないようそっと布団をめくる。
 ――どこがいいかな。首筋? 鎖骨の方がよく見えるだろうか。
 つけたことを気付かれなければ意味がない。見つかるリスクを背負いながら深夜に部屋に侵入してこんな恥ずかしいことをしているんだ。
 イリヤはそっと、けれど強くジュダルの肌にキスをして部屋を出た。
 ――明日が楽しみだ。

 朝。
「なんだこれ!?」
 隣の部屋から大きな声がした。
 ジュダルが鏡を見て驚いたのだろう。そうわかりながらも、
「どうしたの?」
 と部屋を覗きに行くイリヤ。
「いや、別になんでも……」
 手でキスマークのある所を隠しているが顔が赤らんでいる。
 ――恥ずかしがってる? 成功?
「なにニヤニヤしてんだよ」
「なんでもないです」
 イリヤは笑って自分の部屋へ戻った。

 ほら普通の会話が出来た。
 それが何を意味するかなんてどうでもいい。
 大事なのは結果だ。


③無題
「美しい」初めての感情だった。眠る少女の肌にそっと触れる。サラシを巻いて胸を潰してしてもその裸体はとても女性的でとても美しかったのだ。「このまま触れていたら起きちまうな。何されるか分かんねえ」自嘲にも似た笑いをこぼして部屋をあとにした。
(14/06/26)
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