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安堵


「おかえり」
「驚かねえのかよ」
 出陣から帰還した鶴丸の服は随分と赤く染められていた。
 けれど私は驚かなかった。多少傷付いてはいるだろうが、雰囲気はいつもの鶴丸と変わらなかったからだ。
「心配してくれないって言われるかと思った」
「ははは、主っぽいな」
 心配してないわけじゃない。いつだって帰ってきてその笑顔を見せてくれるまでは不安に押し潰されそうになる。恥ずかしいから言わないけど。
「それ褒めてる?」
「褒めてる」
「ならよし。ほら、みんなが驚いちゃうから着替えて手入れしないと」
「ああ」
 今日も無事に帰ってきてくれてよかった。ありがとう、お疲れ様。


「主ってどんな時に落ち着く?」
 突然鶴丸に訊ねられた。
「んー……あ、鶴丸といるとき!」
「俺も落ち着くよ。サイズ感もいいしな」
 後ろからすっぽり抱きしめられてしまった。
 少しドキッとさせてやろうと思ってたのに、その発言のせいで逆にめちゃくちゃドキドキする展開になっている。
「抱きしめると互いに落ち着くかと思ったが、そうでもなさそうだな。鼓動が早い」
「恥ずかしいから言わないで」
「やっぱりかわいいな、主は」
「なんでそうなるの」
 永遠に慣れる気がしないけど抱きしめられる安心感は得てみたい。


(19/04/07)
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