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「幸せの色」
「ソラとお付き合いしてください!」
それは突然の告白だった。
◇
イベントスタッフのアルバイトをしていた私はとあるイベントで宙くんと出会った。
「大丈夫ですか?」
ステージの裏でしんどそうにしゃがみ込んでいる宙くんを見かけて水を差しだす。
このときはまだ宙くんのことはよく知らなかった。
「ありがとうです」
「えっとたしか春川くんだよね。ちゃんとどこかで休んだ方がいいし、誰かメンバーとかマネージャーさんに声かけてきますね」
「待ってください。ししょ~たちには心配かけたくないです」
「でも」
体調悪そうな人放っておくわけにもいかないし・・・・・・。
「ちょっと色に酔っちゃっただけだからすぐ治ります。心配ならお姉さんがソラのそばにいてください」
「う、うん」
Tシャツの裾を引っ張られて潤んだ瞳で見つめられたら断れない。ちょうど休憩中だし付き添うことはできる。ただ本当にこれでいいんんだろうか。戸惑いながら宙くんの横にしゃがんで背中をさすった。
「ひとつ聞いても良いかな? 色に酔ったっていうのはどういうこと?」
「ソラは人の色が見えます。嬉しそうな色とか哀しそうな色とか。今日のイベント来てる人いろんな色してて気持ち悪くなっちゃたんです」
「なるほど・・・・・・?」
私のような普通の人には見えないものが春川くんには見えるってことだよね。それってどんな感じなんだろう。
あんまり聞いてもしんどくさせちゃうだけだと思ってそれ以上聞かなかった。
そのあと少しして復活した宙くんにお礼がしたいと言われて、断り切れず連絡先を交換した。
お礼されるほどのことしてないし、そもそも社交辞令だと思っていた。
私はスタッフだったとはいえただのバイトで、向こうはアイドル。アイドル学校の学生でアイドルの卵みたいなものだとしてもアイドルに変わりはないし、住む世界が違うっていうか。
でも宙くんは本当に連絡をくれて、おいしいカフェがあるので行きましょうって誘ってくれた。二人きりで会っていいのか迷ったけど、一回くらいいいよねと会うことにした。会うまでの間何度かやりとりした私は可愛い弟ができたみたいな気持ちになっていた。
◇
「宙くんのパフェも美味しそう」
「一口あげます」
「ありがとう。私のもどうぞ」
美味しそうに食べる宙くんが可愛くてつい気が緩んでしまう。
「ごちそうさまでした」
途中から食べるのに夢中でほとんどしゃべらなかったような気がする。
「ソラ、今日は言いたいことがあったんです」
「言いたいこと?」
「はい。好きです。ソラとお付き合いしてください!」
それは突然の告白だった。待って、何が起こってるの? え、どこでそうなった?
「えっと、」
「ダメですか?」
「ダメっていうか、宙くんアイドルだし」
真っ直ぐに見つめられてたじろぐ。よく見たら綺麗な顔だなってよく見なくてもそうなんだけど、なんというか。可愛い弟のつもりでいたけど、違う気がしてきた。
「そんなの関係ないな」
「まだ出会ってまもないし」
「知らないことは付き合ってから知っていけばいいって聞いた」
「誰に?」
必死な宙くんがかわいくて思わず笑みが溢れる。こんなに宙くんはまっすぐなのに私は言い訳を並べて現実から逃げようとしている。たぶんほんとは、あの日潤んだ瞳で見つめられた時から一目惚れしてた。好きになるのに出会ってからの時間なんて関係ないんだよね。
「会った時から、ずっと、優しい色してた。そして今はソラのことが好きって色してるな~」
「恥ずかしいからやめて」
「ちゃんと言ってくれなきゃ嫌な〜」
「……宙くん、好き。これからよろしくお願いします」
ここが角で、たまたま空いてて周りに人がいないからよかったもののこんな誰に見られてもおかしくないような場所で告白なんて……でもまあ宙くんも嬉しそうだからいいか。
(21.07.06)
宙くん誕生日おめでとうございました。
「ソラとお付き合いしてください!」
それは突然の告白だった。
◇
イベントスタッフのアルバイトをしていた私はとあるイベントで宙くんと出会った。
「大丈夫ですか?」
ステージの裏でしんどそうにしゃがみ込んでいる宙くんを見かけて水を差しだす。
このときはまだ宙くんのことはよく知らなかった。
「ありがとうです」
「えっとたしか春川くんだよね。ちゃんとどこかで休んだ方がいいし、誰かメンバーとかマネージャーさんに声かけてきますね」
「待ってください。ししょ~たちには心配かけたくないです」
「でも」
体調悪そうな人放っておくわけにもいかないし・・・・・・。
「ちょっと色に酔っちゃっただけだからすぐ治ります。心配ならお姉さんがソラのそばにいてください」
「う、うん」
Tシャツの裾を引っ張られて潤んだ瞳で見つめられたら断れない。ちょうど休憩中だし付き添うことはできる。ただ本当にこれでいいんんだろうか。戸惑いながら宙くんの横にしゃがんで背中をさすった。
「ひとつ聞いても良いかな? 色に酔ったっていうのはどういうこと?」
「ソラは人の色が見えます。嬉しそうな色とか哀しそうな色とか。今日のイベント来てる人いろんな色してて気持ち悪くなっちゃたんです」
「なるほど・・・・・・?」
私のような普通の人には見えないものが春川くんには見えるってことだよね。それってどんな感じなんだろう。
あんまり聞いてもしんどくさせちゃうだけだと思ってそれ以上聞かなかった。
そのあと少しして復活した宙くんにお礼がしたいと言われて、断り切れず連絡先を交換した。
お礼されるほどのことしてないし、そもそも社交辞令だと思っていた。
私はスタッフだったとはいえただのバイトで、向こうはアイドル。アイドル学校の学生でアイドルの卵みたいなものだとしてもアイドルに変わりはないし、住む世界が違うっていうか。
でも宙くんは本当に連絡をくれて、おいしいカフェがあるので行きましょうって誘ってくれた。二人きりで会っていいのか迷ったけど、一回くらいいいよねと会うことにした。会うまでの間何度かやりとりした私は可愛い弟ができたみたいな気持ちになっていた。
◇
「宙くんのパフェも美味しそう」
「一口あげます」
「ありがとう。私のもどうぞ」
美味しそうに食べる宙くんが可愛くてつい気が緩んでしまう。
「ごちそうさまでした」
途中から食べるのに夢中でほとんどしゃべらなかったような気がする。
「ソラ、今日は言いたいことがあったんです」
「言いたいこと?」
「はい。好きです。ソラとお付き合いしてください!」
それは突然の告白だった。待って、何が起こってるの? え、どこでそうなった?
「えっと、」
「ダメですか?」
「ダメっていうか、宙くんアイドルだし」
真っ直ぐに見つめられてたじろぐ。よく見たら綺麗な顔だなってよく見なくてもそうなんだけど、なんというか。可愛い弟のつもりでいたけど、違う気がしてきた。
「そんなの関係ないな」
「まだ出会ってまもないし」
「知らないことは付き合ってから知っていけばいいって聞いた」
「誰に?」
必死な宙くんがかわいくて思わず笑みが溢れる。こんなに宙くんはまっすぐなのに私は言い訳を並べて現実から逃げようとしている。たぶんほんとは、あの日潤んだ瞳で見つめられた時から一目惚れしてた。好きになるのに出会ってからの時間なんて関係ないんだよね。
「会った時から、ずっと、優しい色してた。そして今はソラのことが好きって色してるな~」
「恥ずかしいからやめて」
「ちゃんと言ってくれなきゃ嫌な〜」
「……宙くん、好き。これからよろしくお願いします」
ここが角で、たまたま空いてて周りに人がいないからよかったもののこんな誰に見られてもおかしくないような場所で告白なんて……でもまあ宙くんも嬉しそうだからいいか。
(21.07.06)
宙くん誕生日おめでとうございました。
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