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王子様は姫を助ける
事務所で用事を済ませて廊下を歩いていたら非常階段にチラリと人影が見えた。
気になって確認するとそこには見覚えのある人物がいた。
「どうした、プロデューサー。そんなところにうずくまって」
慌てて駆け寄る。
「あ、氷鷹くん……」
「怪我か? それともどこか調子が悪いのか?」
見たところ怪我ではなさそうなので、背中を摩る。
「ちょっと貧血気味で……少し休めば大丈夫だから……」
絞り出すような声、全然大丈夫そうには見えない。
「立てるか? 吐き気とかはないか?」
「……」
なんとか立てるようなら支えながら医務室まで歩くかと思ったが立てそうになさそうだ。となれば仕方ない。
「すまんが大人しくしておいてくれ」
一度深呼吸をしてプロデューサーを抱き抱えた。そういわゆるお姫様抱っこだ。
「えっ」
プロデューサーは驚いている。当然か。
「落としたりはしないから安心してくれ。お前はこのまま誰にもバレないようにここで休んで、何事もなかったかのように仕事に戻るつもりだったんだろうが、放っておくわけにはいかない」
「……」
「絶対に横になった方がいい。ここでは冷えるからな」
この人はすぐ無茶をするから心配だ。
「……おばあちゃんみたい」
「うるさい」
このシチュエーションにもうちょっとドキドキしてくれてもいいんだが、まあいつものことか。
事務所内、医務室のベッドに運び寝かせた。
「次の仕事はなんだ? 事務所(ここ)にいるってことは何か打ち合わせか?」
「fineと……」
「そうかわかった。連絡は俺がしておくからしばらくは寝ておけ」
ホールハンズでfineのリーダー天祥院英智を選択する。
「でも、だいじょうぶ……」
「さっきからそんな弱々しい返事をしてるのに、わかった行ってこいとはならないだろ。だいたいそうやって無理をするから入院することになるんだ」
そう言いながらメッセージ内容を入力していく。
「……」
言い返してこないのは入院を申し訳なく思ってるからだとは思うが、ならばもう少し自分のことを大事にしてほしい。
メッセージを送信してどうしたものかと考える。
「……氷鷹くんも何か仕事あったんじゃ……?」
沈黙を破ったのは彼女だった。
「俺は書類の提出に来ただけだから気にするな」
何も予定がなくてよかった。急いでいたら異変に気づかなかったかもしれない。
「そっか」
「とは言え、俺がいると気が散ってゆっくり休めないだろ。外にで」
「やだ」
「えっ」
プロデューサーが俺の腕を掴んだ。
「いかないでほしい……気が散るとかないというか……いてくれた方が安心する……から……」
「そ、そうか」
「うん」
これはやばい、体温が上がっていく。
素直に頼られるとそれはそれでどうしていいかわからなくなるな。
「ここにいるだけでいいか?」
いや、俺は何を言ってるんだ。というか何が出来るんだ。
「手、握ってほしいかも……」
な、なるほど⁉︎
「わかった。起きるまで握っててやるから安心して寝てろ」
「……ありがとう」
出来る限りの平静を装って手を握る。これ手から緊張とか伝わってしまうんじゃ……ドキドキしながら彼女を見ると、彼女も照れてるようで顔を真っ赤かにしていた。
(21/05/03)
事務所で用事を済ませて廊下を歩いていたら非常階段にチラリと人影が見えた。
気になって確認するとそこには見覚えのある人物がいた。
「どうした、プロデューサー。そんなところにうずくまって」
慌てて駆け寄る。
「あ、氷鷹くん……」
「怪我か? それともどこか調子が悪いのか?」
見たところ怪我ではなさそうなので、背中を摩る。
「ちょっと貧血気味で……少し休めば大丈夫だから……」
絞り出すような声、全然大丈夫そうには見えない。
「立てるか? 吐き気とかはないか?」
「……」
なんとか立てるようなら支えながら医務室まで歩くかと思ったが立てそうになさそうだ。となれば仕方ない。
「すまんが大人しくしておいてくれ」
一度深呼吸をしてプロデューサーを抱き抱えた。そういわゆるお姫様抱っこだ。
「えっ」
プロデューサーは驚いている。当然か。
「落としたりはしないから安心してくれ。お前はこのまま誰にもバレないようにここで休んで、何事もなかったかのように仕事に戻るつもりだったんだろうが、放っておくわけにはいかない」
「……」
「絶対に横になった方がいい。ここでは冷えるからな」
この人はすぐ無茶をするから心配だ。
「……おばあちゃんみたい」
「うるさい」
このシチュエーションにもうちょっとドキドキしてくれてもいいんだが、まあいつものことか。
事務所内、医務室のベッドに運び寝かせた。
「次の仕事はなんだ? 事務所(ここ)にいるってことは何か打ち合わせか?」
「fineと……」
「そうかわかった。連絡は俺がしておくからしばらくは寝ておけ」
ホールハンズでfineのリーダー天祥院英智を選択する。
「でも、だいじょうぶ……」
「さっきからそんな弱々しい返事をしてるのに、わかった行ってこいとはならないだろ。だいたいそうやって無理をするから入院することになるんだ」
そう言いながらメッセージ内容を入力していく。
「……」
言い返してこないのは入院を申し訳なく思ってるからだとは思うが、ならばもう少し自分のことを大事にしてほしい。
メッセージを送信してどうしたものかと考える。
「……氷鷹くんも何か仕事あったんじゃ……?」
沈黙を破ったのは彼女だった。
「俺は書類の提出に来ただけだから気にするな」
何も予定がなくてよかった。急いでいたら異変に気づかなかったかもしれない。
「そっか」
「とは言え、俺がいると気が散ってゆっくり休めないだろ。外にで」
「やだ」
「えっ」
プロデューサーが俺の腕を掴んだ。
「いかないでほしい……気が散るとかないというか……いてくれた方が安心する……から……」
「そ、そうか」
「うん」
これはやばい、体温が上がっていく。
素直に頼られるとそれはそれでどうしていいかわからなくなるな。
「ここにいるだけでいいか?」
いや、俺は何を言ってるんだ。というか何が出来るんだ。
「手、握ってほしいかも……」
な、なるほど⁉︎
「わかった。起きるまで握っててやるから安心して寝てろ」
「……ありがとう」
出来る限りの平静を装って手を握る。これ手から緊張とか伝わってしまうんじゃ……ドキドキしながら彼女を見ると、彼女も照れてるようで顔を真っ赤かにしていた。
(21/05/03)