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記念日
「ねえ、びーびーきくーん」
「はい、何でしょう?」
「今日はなんの日か知ってますか?」
何も言ってくれない渉くんに痺れを切らした私。私から言ってもいいんだけど教えてあげるみたいで嫌だ。自分で気づいて欲しい。
「たしかあなたの学校ではテストの返却日でしたねえ。また成績が落ちてしまいましたか?」
「ちがう! まず、私が日々樹くんって呼んでるの違和感ない? そこからツッコんでほしかった!」
たしかに今日テスト返ってくるって言ったけどそうじゃないの。
「おやおや、姫君はご機嫌ななめなようですね。やはり成績が……」
「そうじゃなくて!! もー知らない」
ほんとむかつく!
「ふふふ、ふてくされちゃってかわいいですね。はい、Amazing!」
何も持ってなかったはずなのに一瞬で現れた小さな紙袋。
「どういうこと?」
「いつも新鮮に驚いてくれるので披露のしがいがありますね。さあ開けてみてください」
何度見たって渉くんのマジックはすごくてびっくりしちゃう。すごいけど毎回驚いちゃうの思う壺みたいでちょっと悔しい気持ちもある。
「え、これ……」
「ええ、あなたが欲しがっていた新作リップです。とある友人に嘆いたら手に入れてくれました」
「すごい! すごいよ、渉くん!」
SNSで見かけて欲しいなって言ったら探すの付き合ってくれたんだけど、どこも人気で売り切れだった。あの時『他のやつとは何が違うんですか? これもかわいいのに』とか言ってたのに! めちゃくちゃ嬉しい。やっぱりこれ超絶かわいい。
「そうでしょう? なんたって今日は付き合って一年の記念日ですからね」
「嘘、ちゃんと覚えててくれたの?」
「もちろんです。というかあんなに主張されて忘れるわけないでしょう」
そういえばそうでした。一ヶ月くらい前から来月で一年だねってめちゃくちゃ言った気がする。
「ごめんね、疑って。私もね、渉くんに渡したいものがあるの」
「はて、なんでしょう」
「これ、なんだけど……」
ドキドキしながら袋を差し出す。
「……なるほど、アルバムですか?」
「そう、渉くんと過ごした、楽しかった一年を詰め込んでみました!」
こういうの自己満でしかないから迷ったんだけど、幸せだよっていうのをどうしても伝えたくて。って本人には恥ずかしくて言えないけど。
「これは素晴らしい。色々メッセージや仕掛けもありますね」
「頑張って動画とか見ながら作ってみたんだ」
見てほしいけど目の前でまじまじと見られていると恥ずかしい気持ちもある。
「ふふふ、一生懸命作ってる姿を想像したらより愛しくなりますね」
「それからかってない?」
「そんな風に聞こえました? 私もこの一年楽しかったですよ。きっと次の一年も楽しくなります。いや、楽しませてみせましょう」
「わっちょっとハトはやめて」
せっかくいい雰囲気だったのになんかスイッチ入ったみたいで、どこからともなくハトが出てきた。いつでもどこでもできるように仕込んでる渉くんすごい。いや、やばい。当の本人は「刺激があって楽しいでしょう?」なんて笑ってるけど何か違う気がする。
でもまあ確かに渉くんとだったらどんなことでも楽しいからこの先も幸せでいられそうだ。
(20/11/15)
「ねえ、びーびーきくーん」
「はい、何でしょう?」
「今日はなんの日か知ってますか?」
何も言ってくれない渉くんに痺れを切らした私。私から言ってもいいんだけど教えてあげるみたいで嫌だ。自分で気づいて欲しい。
「たしかあなたの学校ではテストの返却日でしたねえ。また成績が落ちてしまいましたか?」
「ちがう! まず、私が日々樹くんって呼んでるの違和感ない? そこからツッコんでほしかった!」
たしかに今日テスト返ってくるって言ったけどそうじゃないの。
「おやおや、姫君はご機嫌ななめなようですね。やはり成績が……」
「そうじゃなくて!! もー知らない」
ほんとむかつく!
「ふふふ、ふてくされちゃってかわいいですね。はい、Amazing!」
何も持ってなかったはずなのに一瞬で現れた小さな紙袋。
「どういうこと?」
「いつも新鮮に驚いてくれるので披露のしがいがありますね。さあ開けてみてください」
何度見たって渉くんのマジックはすごくてびっくりしちゃう。すごいけど毎回驚いちゃうの思う壺みたいでちょっと悔しい気持ちもある。
「え、これ……」
「ええ、あなたが欲しがっていた新作リップです。とある友人に嘆いたら手に入れてくれました」
「すごい! すごいよ、渉くん!」
SNSで見かけて欲しいなって言ったら探すの付き合ってくれたんだけど、どこも人気で売り切れだった。あの時『他のやつとは何が違うんですか? これもかわいいのに』とか言ってたのに! めちゃくちゃ嬉しい。やっぱりこれ超絶かわいい。
「そうでしょう? なんたって今日は付き合って一年の記念日ですからね」
「嘘、ちゃんと覚えててくれたの?」
「もちろんです。というかあんなに主張されて忘れるわけないでしょう」
そういえばそうでした。一ヶ月くらい前から来月で一年だねってめちゃくちゃ言った気がする。
「ごめんね、疑って。私もね、渉くんに渡したいものがあるの」
「はて、なんでしょう」
「これ、なんだけど……」
ドキドキしながら袋を差し出す。
「……なるほど、アルバムですか?」
「そう、渉くんと過ごした、楽しかった一年を詰め込んでみました!」
こういうの自己満でしかないから迷ったんだけど、幸せだよっていうのをどうしても伝えたくて。って本人には恥ずかしくて言えないけど。
「これは素晴らしい。色々メッセージや仕掛けもありますね」
「頑張って動画とか見ながら作ってみたんだ」
見てほしいけど目の前でまじまじと見られていると恥ずかしい気持ちもある。
「ふふふ、一生懸命作ってる姿を想像したらより愛しくなりますね」
「それからかってない?」
「そんな風に聞こえました? 私もこの一年楽しかったですよ。きっと次の一年も楽しくなります。いや、楽しませてみせましょう」
「わっちょっとハトはやめて」
せっかくいい雰囲気だったのになんかスイッチ入ったみたいで、どこからともなくハトが出てきた。いつでもどこでもできるように仕込んでる渉くんすごい。いや、やばい。当の本人は「刺激があって楽しいでしょう?」なんて笑ってるけど何か違う気がする。
でもまあ確かに渉くんとだったらどんなことでも楽しいからこの先も幸せでいられそうだ。
(20/11/15)