告白


「りっちゃん♪」
　放課後、教室で寝ている幼なじみ朔間凛月に声をかけた。
「ねぇいつもその名前で呼ばないでって言ってるよね？」
　大事な日に寝てるからちょっといじわるしてみた。その名前で呼んでいいのは衣更真緒だけらしい。
「せっかくチョコレート持ってきたのに……」
「チョコレート？」
　今日は女子にとって一大イベントだというのに。というか男子だってそわそわするものだと思ってたんだけどモテると大したことないのかな？　いやモテててたらもうもらってるはずだし。
「ねーー今日バレンタインだよ⁉︎　忘れてるとかそんなことある？　彼女からもらえるかもってドキドキしない？」
「絶対くれるし」
「そうだけど」
　あれは忘れてたわけではなく何を今更言っているのかってこと？　ムカつく。いやまあそうなんだけど、今年こそは告白しようと思ってて……そうなのまだ幼なじみから抜け出せない系女子です。いやなんだよって感じなんだけど。
「それより自分が彼女だって思ってるんだ」
「え、あ、そうじゃなくて、あれは何というか言葉のあやってやつで……」
　嘘、私彼女とか言ってた？　どうしよう、ちゃんと告白するつもりだったのにこれじゃあ言いにくいよ。
「さっさと告白してくれればいいのに。毎年待ってるんだけど？」
「わかってるなら凛月くんが告白してくれればいいのに」
　そうじゃん、そうだよ。わかってて待ってるってずるくない？　ってちょっと待って、待ってるってことは凛月くんも私を好きなの？　両想い？　どうしよう。
「はいはい、じゃあするね。一回しか言わないからよく覚えておいてね。ずっと好きです、俺の彼女になってください」
「ーーはい」
　どうしようも出来なくてとりあえず持ってきたチョコレートを差し出してうなずくことしか出来なかった。


(20/01/25)
お題：凛月でバレンタイン