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original

InNoCeNcE.


 違う。
 違うんだ、ヒズ。
 オレはただ、ヒズを守りたかっただけなんだ。
 失いたくなかったんだ。
 大切だから。
 オレは心の中でそう何度も繰り返した。


      *


 ある晴れた日。
 少年、槻我(ツキガ)は暁琶を呼び出した。
「おい、ツキガ、どういうつもりだ?」
「ん? 一緒に研究所を潰しに行こうかと思ってね」
「いやだよ」
「どうして? あぁ、歪か」
「知ってたのか」
「まぁね。行こう。歪失いたくないでしょ?」
「!?」
「奴らは歪を殺す。その前に殺してしまいたいだろ?」
「――わかった行く」
 二人は研究所に向かった。


      *


 研究所。
 槻我がなれた感じで進んでいく。
「ツキガ……?」
「もうすぐだよ」
「何がだ?」
「後で教えてあげる」
 そしてまた、二人は無言で歩く。

「さ、ついた。入って」
 槻我は扉を開け、暁琶を中に入れた。
 そして、自分も中に入り、鍵をかけた。
「ツキガ、どうした?」
「これでやっと手に入れられる」
「は?」
「暁琶は僕のものになる」
「お前……」
「さて、ヤレ」
 槻我の合図で白衣の男が現れ、暁琶を機械に入れた。
「ツキガ!!」
「叫んでも無駄だよ。さぁ、忘れてもらうよ、歪のこと」
 にっこり笑んで、とあるボタンを押す。
「う゛あ゛ーー――」
 暁琶は叫んだ。言葉にならない声で。
「忘れろ。歪のことなんて」
 呟いて、苦しむ暁琶を嬉しそうに眺める。
 叫び続ける暁琶を見つづけたのち、機械を止めた。
 ぐったりとしている様子の暁琶。
「だせ」
 槻我の合図で白衣の男たちが暁琶を機械からだす。
 白衣の男たちに支えられて立つ暁琶は突如、表情を変えポケットから銃を取り出した。
「暁琶――?」
「死ね、お前」
 銃を槻我に向ける。
「…………」
「お前はアイツを殺しかねない。死んでもらう」
「歪のことを覚えているのか?」
「――わからない。オレはただ、心に残る大切な人を守るためにお前を殺す」
「やめろ、僕は暁琶、お前が好きなんだ。だから――」
「黙れ。暁琶? オ レはお前のことなんて思ってない。消えろ」

 バン。

 暁琶は槻我の心臓を撃ち抜いた。
 ドサッと槻我が崩れ落ちた。
「お前ら」
 暁琶は白衣の男を呼んだ。
「記憶を消したのも、こいつを殺したのもお前らだ。そういうことにしておけ。そのほうがいいきがする」
 そう言ってすぐ、暁琶は意識を失った。


      *


 その後、歪が助けにきた。
 暁琶を想っているが故、この状況に嫉妬した。
 けれど、暁琶は記憶を失ってなお、歪を想っていた。


 more than anyone else...


――fin.

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