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original

なんか発掘した。二次創作だったような気がしなくもないけど全く思い出せないので、こちらにそのまま載せます。供養します。


灰、曇った空。降り注ぐ雨。
雨が少女を冷たくする。
けれど濡れることを拒もうとはしない。

「たすけて、」

少女がぼそりと呟いた言葉は喧騒の中に消えた。
誰にも届かない。
叫ぼうとするたび、喉は激痛を訴えてその言葉は呑み込まれる。
伝えることが出来ない。
一体誰に?
誰でもいい、楽になれるなら。そう思いながらも、一番そばにいてほしいあの人には届いてほしくないなんて思ってる。矛盾。

「声をあげよう」
「――だれ」
どこからともなく聞こえてきた声。
少女にしか届かない言葉。
「誰だろうねえ? 君を楽にしてあげるよ」
「楽?」

それはとても魅力的に感じられた。

「さあ、目をつむってごらん」
「…………」
少女はゆっくりとまぶたを閉じる。

「――助けて」

初めてその言葉は声となる。人々の耳に届いた。
しかし、少女は目を開けない。
力が抜けて崩れ落ちる。どうやら眠っているようだ。

「ほら、もう苦しまない。ゆっくりとお眠り」

その眠り永遠の眠り。
それを知るのはただ一人、そうした奴だけ。



「助けて」

確かに聞こえた。
間違いない、彼女の声だ。
少年は走った。汗を拭うも不安は拭いきれない。

「……!」

地面で眠る少女に駆け寄る。

「おい! 大丈夫か!」

少年が声をかけても少女は目を覚まさない。
息がある。まだ生きている。眠っているだけだ。

ベッドでとても静かに、死んだように少女は眠る。
まるで童話のお姫様。

(14/06/04)
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