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滅び


 現在。
潰れかけのボロボロな街。
大きな銃を抱え歩く幼き少年。
銃は少年に不釣り合いな大きさで重たいはずなのに、少年は平然と歩いている。
少年の名は一ノ倉蒼空(そら)。
「もう、いないかな?」
辺りを見る。
「いないといいな……」
周りを確認しながら歩き続ける。
ザク、ザク。
自分以外の足音がどこかから聞こえる。
瓦礫の上を歩いているのだろう。
「誰……?」
「…………」
訊いてみても返事はない。
「敵さんなのかな……Are you a soldier?(兵隊さん?)」
「Surely.(確かに)」
 振り返るとそこに男がいた。
「Are you Grand Poobah?(お偉いさん?)」
「It teaches in the world of the dead.(あのよで教えてやるよ)」
ベルトのホルダーに付けられた小型の銃を抜き、蒼空に向ける。
「Do you want to die?(死にたいの?)」
抱えていた大きな銃を男に向ける。
「Woops! scary.Little boy.(おっと、怖いなぁ。坊やは)」
 男は余裕そうな発言しつつも震えていた。
「Hold your tongue!(黙れ)」
引き金に手を掛ける。
男の震えは酷くなる。
「Good-bye.(さようなら)」
 バン。
蒼空は男に銃弾を撃ち込んだ。
心臓を撃ち抜かれ即死。
血を大量に流し男は怯えた表情で倒れていた。
「I want god's divine protection to you.」
蒼空はそう呟いて歩きだした。
欲に溺れた人間どもは戦い続ける。たった一人の人間の為に――。

「あんな風に生き残ってんだなぁ敵さん。指揮官がいないと何も出来ないんだ……震えてた……」
蒼空はさっき殺した男の事を思い出す。
「嫌な事は考えないようにしよう」
「殺人が嫌なんだ、キミは」
横から綺麗な男が現れた。
「お前は……ッ」
「睨まないの、可愛いお顔が台無しだよ? ボクはねぇこの国の人間なんだけど、独り占めがしたくてさぁ」
「独占欲強いんだわ」
 と男は笑う。
「邪魔者は失せろ」
「あー怖いわ。人殺しは嫌いなんじゃなかったけ?」
「五月蝿い、黙れ」
「また可愛いお顔が台無し」
蒼空はなお男を強く睨みつける。
「そんなお顔で見つめられたらさぁ、こっちもね?」
男は、右手に銃を左手に刀を持つ。
「そんなんじゃオレには勝てねーんだよ」
蒼空は銃を構える。
「そんな大きな銃抱えてちゃ逃げれないでしょ」
「逃げる必要ないし、これでも逃げれる」
引き金に手をかける。
「キミがその気ならボクも」
男も引き金に手をかける。
そして二人は示し合わせたかのように同時に引き金を引いた。
――ドン。
二人の銃声音。とはいえ、男の銃声音は蒼空の音にかき消されてしまっている。
「ぐはっ」
蒼空は衝撃で血を吐き出した。
銃弾が当たった訳ではない。
銃弾は避けられたのだが、一瞬の間に行われた男の刀の攻撃が避けられなかったのだ。
で、その男だ。
その男は蒼空の前に血塗れで倒れている。
男は蒼空を刺すほんの少し前に弾が体を貫いた。
それでも、力を振り絞って蒼空を攻撃したのだった。
「……――神の御加護がありますように」
男見てそう言うと蒼空は体をふらつかせながら再び歩きだした。
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