滅び
過去
透明なガラスケースの中に、まだ幼き少女が眠っている。
少女の名は妃波(ひなみ)。
そんな妃波を何とも愛おしそうに見つめる男。
ここの所長、一ノ倉(いちのくら)。
「あぁ。妃(ひめ)……」
吐息が漏れる。
妃とは妃波の愛称。
「遂にこの日が来たんだね」
所長は妃波をガラスケースから抱きかかえた。
妃波を起こさぬようにそっと頭を撫でる。
そして、隣の部屋に設置してある機械の中に妃波を入れた。
そして、妃波を機械から延びる無数のコードと繋いでいく。
この男は愛するが故に愛する者を苦しめる。
そういう気の狂った男だ。
「柚木(ゆぎ)、スイッチを押すぞ」
「はいはーい。見に行きます」
所長に呼ばれ元気に返事した男――柚木。
所長に信頼されている研究員。
「妃――……」
所長は本当に愛おしそうに妃波の名を呼び、スイッチを押した。
――これが、後に戦争の原因になる少女へのプログラミング。
この時はまだ、プログラミングによって絶大な力が生まれる事を二人は知らない。
この段階ではプログラミングを甘く見ているだ。
透明なガラスケースの中に、まだ幼き少女が眠っている。
少女の名は妃波(ひなみ)。
そんな妃波を何とも愛おしそうに見つめる男。
ここの所長、一ノ倉(いちのくら)。
「あぁ。妃(ひめ)……」
吐息が漏れる。
妃とは妃波の愛称。
「遂にこの日が来たんだね」
所長は妃波をガラスケースから抱きかかえた。
妃波を起こさぬようにそっと頭を撫でる。
そして、隣の部屋に設置してある機械の中に妃波を入れた。
そして、妃波を機械から延びる無数のコードと繋いでいく。
この男は愛するが故に愛する者を苦しめる。
そういう気の狂った男だ。
「柚木(ゆぎ)、スイッチを押すぞ」
「はいはーい。見に行きます」
所長に呼ばれ元気に返事した男――柚木。
所長に信頼されている研究員。
「妃――……」
所長は本当に愛おしそうに妃波の名を呼び、スイッチを押した。
――これが、後に戦争の原因になる少女へのプログラミング。
この時はまだ、プログラミングによって絶大な力が生まれる事を二人は知らない。
この段階ではプログラミングを甘く見ているだ。