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滅び


 独断専行の男に溺愛されてしまったまだ未熟な幼き少女。
彼は息子より少女を愛し、それが故、少女を苦しめた。
彼の気は完全に狂っていた。
彼は少女を愛しすぎたのだ。
 愛した妻を亡くした悲しみ、怒り、それらの感情が彼をおかしくさせ、同時に少女が妻のようにならぬようにとの想いが少女を愛しすぎる原因となったのだ。





少女は親に捨てられ、おかしくなっていた。
そこに男は現れた。
少女は男に頼ることでしか生きていけず、結果男の言いなりになってしまった。
男に助けを求めたのがそもそもの間違いだった。
でも、仕方ない。
もうどうすることも出来ぬのだから。
 起こってしまったのだ、戦争は。


   *


少女は争いの中心。
勿論なりたくてなったわけではない。
男と同じようき狂った人間が起こした争いなのだから。
争いはまだ始まったばかり――。


戦争は最先端技術の奪い合いから始まった。
どの国も仲良く技術を交換し合うなんて事は頭に無いらしく、自分の国に無い技術を見つければ無理やり奪う。
それが為、犠牲者が出たって偉いさんは容赦ない。
今までは“世界人権保護国際連盟”という世界のトップ団体のトップ六名(むつな)の命令で戦争は食い止められて来た。
しかし、もう六名はいない。
争いを反対する権力者はいないのだ。
そんな中で醜い争いはいつまで続くのだろう。
終わりは来るのだろうか?
関係の無い人々が死に、世界が壊滅するまで続いてしまうのだろうか。
世界は残酷だ。
それはわかってる。
けれど、どれほど残酷なのかがわからないのだ。人々は。
きっと誰かが止めてくれる。
戦争は終わる。
誰も争いなんてしなくなる。
そう信じて、力のない戦争反対者は生きる。

 ――そう、きっと世界から争いは消える。
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