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ヒカリガフル


 光が降ったんだ。雪みたいに。
 ホントだよ。
 君が言った通りになったんだ。
 ねぇ、その話、君は覚えてる?

   ◆ ◇ ◆

「光が降るの。それも、雪みたいに降るんだよ」
「どんな時に降るの?」
「フツウの日に突然。みんなはびっくりするんだけど、何だか嬉しい気持ちになるんだ。
 光はみんなを幸せにしてくれるの。天使がたくさん降りてくる感じ」
「光、掴めるかな?」
「うん、掴める。掴めるんだけど、掴んだら見えなくなる。はずかしがりやだから。
 現実になるといいな。だって、みんなが幸せだと嬉しいもん」
「そうだね」

 君はいっぱい夢を語ってくれた。
 それは全て光で満ち溢れていた。

   ◆ ◇ ◆

 君との出逢いは、まだ幼いころ。
 公園で泣きじゃくる僕に楽しい話をしてくれた。
 初め、僕は君の話す話に夢中になった。それから君に夢中になった。
 僕は君が好きで、君は僕が好き。「好き」って言ったのはお互いに一回だけ。でも、二人にはちゃんと愛があった。そして、夢があった。
 二人でずっと幸せでいる夢が。

 何故だろう、幸せは長く続かない。
 闇が、君を蝕んだ。大事な愛を引き裂こうとした。
 君が話してくれた最後の話は、僕の未来。
 これも光でいっぱいだったけど切なくて、涙がでた。
 だって、その話のヒロインは君じゃないから。
 君はもう、分ってたんだ。長く生きられないとこ。
 だから、こんな話をして僕に「聞いてくれて、ありがとう」って言ったんだ。
 僕は分っていたけど認められなくて、闇を食い止めようとした。
 けれど、ダメだった。夢が絶望になって、想いが闇に砕けた。
 儚いってこのことなんだね……。

 
 僕の願いは、たったひとつ。
 何もいらない、もうわがままは言わない、だから「君に戻って来て欲しい」
 こんなに光が降っているのに、光は僕の願いを叶えてはくれないのだろうか。
 どんなに祈っても、意味のないことなのだろうか。
 みんなが幸せになるんだよね?

   ◆ ◇ ◆

 一週間、光は降り続けた。
 その光は確かに人々を幸せにはしたけれど、僕を幸せにはしてくれなかった。
 君は、いない。
 忘れない。そう思っても、記憶は色褪せていく。
 君が、ほんとに消えてしまいそうで怖くて、ずっと祈ってたけどダメだった。
 夢だったら、覚めてほしい。これが夢なら現実は君といれてるかもしれない。

 光が止んで、しばらくして、たった一つ、光が僕の元に降ってきた。
 そして、教えてくれた。
 僕は、君の話した未来を実現しなければならない。
 それが、僕と君を繋ぐ唯一の架け橋だから。と。

 光は僕も、幸せにしてくれた。


(09/09/19)
発掘。01ってタイトルについてたから続き書きたかったんだと思う。もう書かないけど。
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