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【kn田譲】彼の真意

あいつが山に足を踏み入れたのを見て、俺の口角はすっと上がってしまう。
ようやく来てくれたと嬉しくなってしまう。
ずっと、ずっと待っていたんだ。
譲、お前が来てくれる日を。
お前が再び山に踏み入れてくれる日を。
ようやく、ようやくだ。
俺の命なんて要らない、あいつが再び山に…いや、俺の横に戻ってくれるならそれだけで構わない。

『本当にええんか?』

俺にそっくりな男が聞いてくる。
その顔は今からやることに後悔はないんだな?と聞きたげだ。
当たり前だがその答えは了承以外にない。
譲が山に登らなくなったあの日に誓ったこと。
いつかまた山に登らせてやる、という気持ちはいつしかあいつを手放したくないという気持ちになって。
あいつから俺のそばに戻ってきて欲しい、という気持ちに変わった。
だからこそ、ここで死んだ。
ここでずっと待っていた。
あぁ、もうすぐ、もうすぐだ。

「譲、もう二度と誰にも渡さないし離さない…」
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