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【utsho】題名はない

「愛してる?」

なんて言葉が聞こえた。

「愛してない」

なんて嘘をついた。

そんなことないのに。
こんなにも愛していたのに。
僕にはもう、彼に触れる資格もない。

「シャオちゃん」

彼の名前を呼ぶ。

「大先生」

僕の名前を呼ぶ声が聞こえる。

「迎えに来てくれたん?」

そう問いかけた。
大好きな彼が、愛している彼じゃない、僕の後ろから違う声がした。

「うん、迎えに来たで、大先生」

緑のパーカーの彼は、崖から飛ぼうとしていた僕の腕を掴んでいた。

「みんな待っとる。ご飯やで」

その言葉に、僕は反抗することなくついて行く。
今日も、見つかってしまった。
彼が死んだ海で、崖で。
彼と同じ夕焼けを見ながら死にたかったのに。
未練がましく、背後をちらりと振り返る。

『またあしたな、大先生!』

見覚えのある、黄色い彼が笑ったような気がした。
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