デフォルトは「水無月咲涼(ミナヅキ キスズ)」となります。
最も偉大な発明家は誰か?
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53.いざ、約束のデート!
目が覚めたら、愛しい恋人が居た。ひょっとしたら昨日の出来事は都合のいい夢で、本当はアイアンハイドがこの家に居るなんてことないのかと思っていたけど……ぜんぜん、そんなことはなかった。
「起きたのか。おはよう」
「うん、おはよう」
先に目が覚めていたのか、アイアンハイドは私が起きたことにすぐ気付いてふっと微笑む。この感じも久しぶり。懐かしい。
「今日は仕事か?」
「ううん、休み!」
「そりゃあいい。最高のタイミングだな」
起き上がったアイアンハイドは時計を見ながら何か考え始めた。つられて時間を確認すると、今は六時過ぎ。休みの日の起床時間にしてはちょっと早い。
「悪い、少し出てくる。なるべく早く戻ってくるから、飯食って洒落た格好をしておいてくれ」
「え、えっ? なに、何で?」
ゴツゴツした手で頬を撫でられる。出かけるのも、オシャレをしろって言うのもいきなりのことで、理由を察することができずに居た。
アイアンハイドはそんな私にずいぶんと楽しそうな笑顔を返す。
「デートに行くぞ。約束してただろ」
「あ……」
もしかして……いや、もしかしなくても!
──寒い冬でも賑わって、絶叫系アトラクションから数多の悲鳴が聞こえる。チュロスを食べ歩くような行儀の悪い行いも、多少は許してもらえるのがこういう場所のいいところ。
家族連れも居るけど……やっぱりカップルが多いかも。私達みたいに!
「来たね、遊園地っ!」
ふんす! と気合いを入れる私に、アイアンハイドは「迷子になるなよ」なんて子ども扱いをする。失礼だなぁ、なんて思っていたら当然のように手を差し出された。
「ほら」
「うんっ」
彼の大きな手をぎゅっと握り、地図の書かれたリーフレットを見ながら「どこから行こうか?」と顔を突き合せた。
──あの後、アイアンハイドはすぐに家を出てどこかへ行った。私はその間にご飯をかき込んで、デートのための可愛い服を吟味した。
遊園地だから、あんまり動きにくいのはだめ。靴も歩きやすいものじゃないと。となるとある程度コーデは限られてくるから……結局、お出かけ用の綺麗なスニーカーとパンツスタイルの組み合わせに落ち着いた。夏なら可愛いサンダルがあったんだけど……。
デートっぽくはないかもなぁ。でも、少ない手持ちを上手い具合に組み合わせることはできただろう。
着替えてメイクをして、このときのために買っておいたアクセサリーも身につける。
そうする内にアイアンハイドも帰ってきた。おかえり! と玄関に向かうと、彼は今までに見たことがないくらいかっこよくてオシャレな格好をしていた。
大きな体格によく合うジャケット、隠しきれない胸筋が目立つハイネックニット、わずかに輝くチェーンネックレス、アイアンハイドにしては珍しいホワイトのパンツ、靴はいつものコンバットブーツだけどこれが意外と合っている。
こうして羅列してみると一つ一つは普通のアイテム。だけど身長の高いアイアンハイドはそれを着こなしちゃう。
聞いてみれば「このときのために用意しておいた」って恥ずかしげもなく答えるから、心がめちゃくちゃに掻き乱されて仕方ない。
好きだなぁ、と改めて噛み締めるくらいには。
そんなこんなで私達は、アイアンハイドの変形したトップキックに乗ってこの遊園地までやって来たというわけ!
「ジェットコースターは乗るんだろ」
「うん、乗る!」
でもその前に肩慣らしで、控えめなアトラクションに乗っておきたい。とりあえず……メリーゴーランドかな? 馬に乗ってるアイアンハイドとか見てみたいし!
彼の手を引っ張って目当てのアトラクションへ向かう。平日だからそれほど混んでいなくて、すんなり乗り込むことができた。
馬車に乗ろうとするアイアンハイドを無理やり馬に乗せ、私もすぐ近くの馬に跨る。ある程度の人数が腰を落ち着けると、メリーゴーランドがゆっくり回り始めた。
アイアンハイドは何も言わないけれど、こんなゆっくり動くもんの何が面白いんだ、って顔をしてる。
「ふふ、アイアンハイド、似合ってるよ。王子様って言うにはちょっと怖いけど」
「咲涼は乗せられてるって感じだな」
そりゃ背の高いアイアンハイドに比べれば見劣りするでしょうけど! でも楽しいよ!
あー、写真撮りたい。だめ? だめかぁ。
くるくると何周かすると、メリーゴーランドは穏やかに止まった。もう終わっちゃった。時間があればまた後で乗りたいな。もちろんアイアンハイドも一緒に!
「次は何がいい?」
「うーん……空中ブランコはだめだし……」
「何でだ、乗りたいなら行ったらいいだろ」
「えっ、だってアイアンハイドは高いところ嫌でしょ?」
私だけ乗ってもいいけど、せっかく来たんだからふたりで一緒に楽しみたい。苦手なことをさせたくないし、私だって無理して乗りたいわけでもないから、空中ブランコはなし!
そう言うとアイアンハイドは仕方ねぇなって顔で笑った。すっごい嬉しそう。
「ゴーカートは? 競走しようよ」
「……いいだろう」