デフォルトは「水無月咲涼(ミナヅキ キスズ)」となります。
最も偉大な発明家は誰か?
What's your name?
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27.可愛さに自覚のあるマルハナバチ。
さて、今日はお休み。世間のイベント事と重なって、スーパーじゃお値打ち価格の商品が多いようだ。
野菜やお肉、レトルト食品、缶詰……そして日用品も安い! これはぜひ行きたいところだけど……ちょっと遠いんだよなぁ。
「アイアンハイド、お願いがあるんですけど……」
「何だ」
「ここのスーパーに連れてってほしいんです。買い込んでおきたいものが沢山あって」
「あぁ、それぐらいならいいが……沢山?」
「沢山!」
あんまり買うと使いきれなくて困るけど、ちょうど洗剤やトイレットペーパーなんかも少なくなってきたしタイミングはいい。
あとティッシュでしょ、せっかくだしシャンプーとかも買おうかな?
「お米もないから欲しいし……結構重くて嵩張るものが多いんですよ」
「……この体だと一度にそんなには持てないな。ちょっと待て」
アイアンハイドは少し呆れた顔をしながらどこかへ連絡した。彼の連絡する先はまぁサイドスワイプやジョルトだろう。
彼は通信を短く終わらせた。
「ひとり呼んだから、そいつが来るまで待機だ」
「はーい」
こんなことに呼んじゃって申し訳ないな。NESTの人手は足りてるのかな? いや、足りてなかったらわざわざ呼んだりしないよね……。
二十分くらい待った後、チャイムがピンポーンと鳴らされた。アイアンハイドが呼んでくれたひとかな? 郵便かな?
はーい、と扉を開けると、そこには真っ黄色の眩しい髪色をした、私と同じくらいの身長の男の子が立っていた。
「……ど、どちらさまですかっ?」
焦る私の後ろからアイアンハイドが顔を覗かせた。驚いた様子もなく、当然のように声をかける。
「遅かったな、バンブルビー」
「《そうか?》《平和ボケってやつかもな。感覚が鈍っちまうぜ》」
困ったように肩をすくめる男の子。
なに、なに、知り合い? バンブルビー……あっ! まさかこの子もトランスフォーマー?
「話は中でしましょう! ね!」
アイアンハイドを部屋に押し込み、バンブルビーと呼ばれた男の子も中に入れた。男の子は青い目をきょろきょろさせていたけど、「どうぞ、座って」と声をかけるとにこっと笑って座り込んだ。三角座りをしている。かわいい。
「えーと、バンブルビー……くんは、トランスフォーマーなんだよね?」
「《Exactly!》《よくご存知で!》」
「前、サイドスワイプとジョルトが言ってたんだ。仲間が他にも居るって」
ディーノさんって名前も聞いたけど、どんなひとかは聞かなかったなぁ。バンブルビーくんのことも名前くらいしか聞いてなかったから、こんな綺麗なイエローカラーだとは思わなかった。
そういえばビーって蜂だっけ。確かに黄色っぽい。
「バンブルビーは最近アメリカから呼んだ。顔合わせにもちょうどいいと思ってな」
「そうなんですね! なんか……ごめんね、わざわざアメリカから来てくれたのに、買い物に付き合わせることになっちゃって」
「《姫をお守りすることこそ騎士の誉れ》《どうぞ、何なりと》」
何かのセリフみたいなむず痒い言葉に顔が赤くなるのを感じた。姫とか騎士だなんて、恥ずかしげもなく言えるバンブルビーくんってすごい。
……いや、なんか変じゃない? 喋る度に声が違う気がする。
「バンブルビーくんって声が……なんか……」
アイアンハイドは私の言葉に頷いた。
「昔ディセップに発声器官を潰されてからはラジオの音声で話してる。ラチェットも直そうと苦心しちゃいるが……難しいみたいだな」
「え……」
バンブルビーくんの方を見ると、自分の喉を触りながら眉を下げてしゅんとしている。あぁ、なんて……痛ましい……こんな子にも容赦ないんだ、ディセプティコンって。
「大変だったんだね……バンブルビーくん。すごいよ、こんなに小さくても戦ってるんだから」
「……子供扱いしてるが、バンブルビーは水無月より何千歳も長く生きてるぞ」
「そう、ですけど……!」
理屈では分かってる、トランスフォーマーが私なんかより長生きしてるってことは。
でもこうしてヒューマンモードで目の前に居るとそう思えないんだよ! どう見ても男の子だもん!
「《俺のことはさ、気軽に》《Bumblebee》《って呼んでくれよな!》」
「バンブルビー?」
「《いい感じ!》」
親指を立てるバンブルビー。明るくていい子だ。こっちまで元気になれそう。
「私は水無月咲涼です。よろしくね」
自己紹介を終えると時間もそこそこ。早くスーパーに行かなきゃ欲しいものが売り切れちゃうかも!
「バンブルビーのビークルモードは目立つ。俺が乗せて行ってやる」
「ありがとう、アイアンハイド! いつも本当に頼りになります!」
「ふん、これくらい何てことはない」
当然だと言いたげな顔をするアイアンハイド。そうは言うけど、いつもいつも面倒かけて申し訳ないな、とは思ってるんだよ。
アイアンハイドは文句を言いながらも最後はやってくれるから、ついつい頼りきってしまうけど。
「……バンブルビーは普通に歩いてても目立っちゃいそうだね」
「……《可愛さのあまり》……?」
キラキラした目で首を傾けながら言うものだから、思わず笑いながら何度も頷いた。
可愛いことに自覚がある子ほど怖いものはない。だってその子は、持ってる可愛さの全てを駆使してくるんだから!