デフォルトは「水無月咲涼(ミナヅキ キスズ)」となります。
ひどい病気には思い切った処置を。
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44.のんびりデートと行きましょう。
「お待たせしました、オプティマスさん!」
服は持っているものの中で特別可愛いやつを。生憎スカートはないけど、まぁそれなりだろう。
髪型はラチェットさんに結ってもらって、道中でみんなに『楽しんでこいよ』と送り出してもらった。
そうだよ、今日は楽しむんだ!
「……綺麗だ」
「へへっ、そうでしょ? ほら見て、これ」
後ろを向いて髪の毛を見せる。そこにはオプティマスさんから贈られたかんざしがついている。彼とのデートなのにこれを身につけない理由は無い。
ラチェットさんには「お熱いね」なんてからかわれたけど……いいんだもん。
「持っていてくれたのか!?」
「えっ」
「いや、普段つけているところを見ないから……捨てたのかと……」
そんなわけないでしょ! こんな大切なもの、普段からそう易々と使えない。大事に仕舞ってあったのだ。
まぁいいか。早とちりはいつものことだし!
「オプティマスさんも、今日の服は違いますね」
「あぁ、デートはおしゃれをするものなんだろう?」
いつものロングコートはなく、Tシャツにジャケットを羽織ってアクセサリーも身につけて……なんか、なんか……ずるい。こんなカッコイイなんて。
私は顔が火照っていくのが止められなくて、誤魔化すようにオプティマスさんから離れた。
「行きましょ、オプティマスさん!」
そうして街に繰り出した。
オプティマスさんの運転に任せてちょっと遠くまで来てしまって、降りてから「いいのかな?」と聞いたものの、彼はにこっと笑うだけ。
「さて、どこへ行こうか」
人は多く、目につく店はどれも何屋さんか分からない。看板を見る限り、ハンバーガー屋さんは結構あるようだ。しかし朝ごはんは食べてきたし、オプティマスさんは何も食べれないし、今のところご飯屋さんに用事はない。
「とりあえず歩きましょうか? それで気になるお店に入ってもいいですか?」
「もちろん。どこまでも付き合うとも」
がやがや騒がしい通りを、きょろきょろしながら歩く。色んなお店があるなぁ。変わったお店があるのは、たぶん日本の街中でも変わらないんだろうな。
「咲涼」
隣を歩くオプティマスさんに呼ばれて顔を上げようとするが、するりと繋がれた手に驚いて動きが止まる。指を絡めて、きゅっと恋人繋ぎになった手は、そうそう簡単に離れることはないだろう。
「気をつけないとはぐれてしまう」
「ぁ……ごめん、なさい」
「ふふ、」
耳まで真っ赤だ。
意地悪に囁いたオプティマスさんに今度こそ顔を向けて。声にならない声をはくはく捻り出しながら、何とか言葉を出そうとするが……どうにも上手くいかない。
仕方ないので絡んだ指にぎゅっと力を込めた。そして歩いてるうちに少し落ち着いてきたから、今度こそ口を開く。
「……離しませんよ」
「……、……あぁ」
やや間を置いて頷いた彼の耳は赤くなっていた。ふふん、してやったり、という気分だ。
そうして手を繋いで、しばらくのんびり歩いていた。のんびりと言っても人波にのまれてマイペースには歩けないけれど、景色を眺める余裕くらいはあった。
「咲涼、疲れないか?」
「ちょっとだけ……」
「もう少し歩くと公園がある。なかなか大きくて、散歩するにも最適だ」
私は頷いた。そこまではこの人混みも我慢するとしよう。人を避けるのを口実に、オプティマスさんの方へくっ付けるし!
向かいから女性が歩いてきたので、道を空けるついでにオプティマスさんの腕に少しだけ擦り寄る。彼の顔を盗み見するとなんだか嬉しそうにこちらを見ていて……。
「な、なんですかっ」
「いや、何も。……ただ、咲涼は小柄だから、もう少し私の方に寄らないと流されてしまうぞ? ほら、また向かいから人が来た。肩がぶつかる」
「ぅ、ん……そう、ですよね!」
バレてる。でもいいのだ、くっつかなきゃ離れ離れになっちゃうから! いいの! どうせみんな知らない人だし、堂々とくっついちゃえ!
っていうか……。
確かに私は背は大きくないし、周囲の人間はスレンダーな美人さんばかりだけど、逆にオプティマスさんは大きすぎませんか?
この人混みでも分かる。オプティマスさんの綺麗な青い髪は、たぶん頭一つくらい飛び出していて、それはそれは目立つことだろう。
バスケットボール選手だったら余裕でダンクシュートできちゃうだろうなぁ。オプティマスさんがバスケ……ちょっと、いいな……。
「ん?」
私の視線に首を傾けたオプティマスさん。その仕草だけで胸が掻き回される。
「……ぁ、こ、公園ってあれですかっ?」
誤魔化すように指を差した。前方に建物の切れ間が見える。広く取られた入り口は人が行き来していて、綺麗な緑がよく見える。
あぁ、と頷いたオプティマスさんは人にぶつからないよう上手い具合にすり抜けていく。
公園に入ると、そこは通りの活気とは違った落ち着きがあった。
ベンチが並び、そこでコーヒーか何かを飲みながら休んでいる様子の人。犬の散歩中の人、家族で和気あいあいと談笑する人……。
和やかな人が多いけど……電話をしながらパソコンに何か打ち込んでいる人も居る。大変そう。
「広い公園ですね」
「あぁ。アイスクリーム・バンもあるぞ」
嘘! ほんとに居るの!? そういうの漫画の中だけかと思ってた!
そういえば、ツインズは以前ふたりでアイスクリーム・バンに変形していたんだと聞いたことがある。走ってる最中に崩れたりして大変だったとか。
その話を思い出して一人で笑っているとオプティマスさんが不思議そうな顔をするから説明してあげた。
オプティマスさんは「私の前で他の……」と言いかけるから慌てて謝っておいた。可愛いんだからと思っちゃうのは、甘すぎるかな?