デフォルトは「水無月咲涼(ミナヅキ キスズ)」となります。
真の恋の道は、茨の道である。
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9.恋人が欲しい!
メモを見て買い忘れが無いかチェックする。……うん、大丈夫そう。メーカーは良太郎くんに聞きながら選んだから間違ってないし、きっと大丈夫。
「多少違ってもねーちゃんなら怒らねぇだろ」
「確かに」
滅多なことでは動じない愛理さんが、買い忘れや間違いで怒るとは思えない。……だとしても任されたことはしっかりやり遂げないと。
レジで大量の商品をスキャンしてもらう内に、入れた覚えのないものが出てきた。それは……お皿に乗っけて食べるのをメーカーが推奨している、プリン。
「……え、え? プリン入れた?」
「し、知らね〜」
「入れたでしょ絶対」
入れてないって言うんならこっち見て。私の目を見て話して。プリンが好きだって言ってたもんね。入れたよね。
モモタロスは私の視線に「うっ……」と言葉を詰まらせた。
「……ゴメンナサイ、入れました」
「えっ」
思わず声をあげてしまった。あんまりにも素直に認めて謝るものだから。しかも“ゴメンナサイ”とか、敬語で。せいぜい“悪ぃ”くらいを想像してた。
元からこんなにしっかりしてる人なのかな。それとも……良太郎くんと一緒に居るから?
「ぁははっ! いいよ、愛理さんには内緒にしとく」
「……おぅ」
そんな私達のやり取りを見ていたレジ打ちの店員さんが、微笑ましそうな顔をした。たぶん良太郎くんの顔見知り。彼はこの店で何度も買い物しているから、大抵の店員さんとは話したことがあるって言ってた。
良太郎くんは見てて心配になるからね……パートのおばちゃんとかなら庇護欲が湧くんじゃないかな……。
「良太郎くん、彼女さん? 可愛いわねぇ」
「え」
「ち、ちげーよ!」
「あら、そうなの? お似合いに見えるけど」
顔が熱くなる。モモタロスとお似合い? いや、姿は良太郎くんだから、良太郎くんとお似合いってことか。何にせよちょっと恥ずかしい。
「わ、私はただの付き添いですよ〜! ほんと、友達みたいな! ねっ?」
「お、おう、そうだ!」
良太郎くんが嫌いなわけではないし、どちらかと言えば好きだけど、それは人としてどう思ってるかの話。恋人になるとかそんなのは無い。それは多分、良太郎くんも同じだろう。
ふ〜〜〜ん……? なんて疑うような視線を送ってくるレジ打ちの店員さん。ほんとに本当なんです。モモタロスとも、良太郎くんとも、なんっにも無いんです!
痛い視線を浴びながら買い物を終えた。袋は大きなビニール袋で三つ。それに箱ティッシュ、トイレットペーパー。いくらモモタロスが力持ちだと言っても全部を持たせるのは忍びなくて、私は箱ティッシュを持つことにした。本当はもう一つ持てるのに、モモタロスが箱ティッシュだけでいいって。……優しいんだか、負けず嫌いなんだか。
モモタロスは重たいと嘆くこともなく、普通の顔をして歩いている。つらいのは良太郎くんかもね。
「……私だって、彼氏欲しいな〜って思うんだよ」
「あ? さっきのおばちゃんの話か?」
「うん」
恋人と過ごす時間は楽しい。
学生の頃は放課後に寄り道をした。ゲーセンに行ったり、プリクラを撮ったり。クレーンゲームで可愛いぬいぐるみを取ってもらったのはいい思い出。卒業をキッカケに別れたし、ぬいぐるみは親戚の子にあげちゃったけどね。
社会人になってから付き合った人とは、お洒落なイタリアンに行ったことがある。ああいうお店は緊張するしお高いから頻繁には行きたくないけど、記念日に行くなら素敵。あの人とは金銭感覚が合わなくて別れちゃったな。私に対する気遣いがあまりにも無いことも嫌だった。
高望みはしているかもしれない。でも金銭感覚は大事だし、私に優しくしてくれない恋人なんていや。……そもそも、他に好きな女ができたのなら私の運命の相手ではなかったということ。
彼のことは本当に好きだったけど、今になって考えてみれば不満点はたくさんあったな。その不満さえも引っくるめて好きだと言える存在にはなれなかった。お互いに。それだけ。
あーあ、ほんとに、一生引きずるくらいの恋とかしてみたいよ。
「俺には分かんねぇな。恋人とかどうとか」
「モモタロスはそうだろうねぇ」
「どういう意味だよっ!」
そのまんまの意味だよ!
