デフォルトは「水無月咲涼(ミナヅキ キスズ)」となります。
真の恋の道は、茨の道である。
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3.強気な女の子。
友達。友達かぁ。良太郎くんにもちゃんと友達が居たんだ。しかもこんな可愛い子! 学校のお友達なのかな。それともお店で知り合ったとか?
よろしくね、と言い合っていたら、良太郎くんが目を覚ました。
「ダチだったら殴るかよ、普通」
ハナさんを見る視線は鋭い。この感じ、ワイルドな良太郎くんだ。
彼は立ち上がって服についた土埃を払った。見た目は変わらないのに、雰囲気はずいぶん違う。今日は一体どうしちゃったの?
「うっさいわね!」
「落ち着いてハナさん!」
拳を振り上げたハナさん。二人の間に割って入って何とか仲裁する。
この二人、友達というわりにはあんまり仲良くないのかな。さっきからずっと、いがみ合っているように見える。
ふん、と息をついたハナさんに胸を撫で下ろして、私は良太郎くんに向き直った。
「良太郎くん、助けてくれて本当にありがとうね! ところでどうしてここに居るの? 用でもあった?」
「用?」
良太郎くんは首を傾げ「用? 用……? オイ、何かあんのか……?」と独り言を呟く。まるで自分に話しかけるみたいな言い方がおもしろい。
コントをしてるみたいな良太郎くんをしばらく眺めていたけど、やがて彼は私の視線に気付いてバツが悪そうに頭を掻いた。
「あー、何だ、忘れた」
「忘れた? そっか」
忘れちゃったなら仕方ない。気になるけど、思い出したら言ってね。
「じゃあ私は帰るよ。良太郎くんも気をつけてね!」
「うるせ!」
「バカモモ! 失礼でしょ!」
またハナさんに頭を叩かれた良太郎くん。もうやめてあげて! もう、ほんとに、良太郎くんが壊れちゃうから! かわいそうだから! ただでさえ運が悪いのにお友達にも叩かれちゃって……いや、もしかしたらそれも運が悪い内に入るのかも。
「痛ぇだろハナクソ女ッ!」
良太郎くんの口の悪さにも慣れてきた。でもこんなに可愛い子をクソ呼ばわりは良くないよ。そもそも人をクソなんて言うのは悪い。
ほんとに、本当に今日はどうしちゃったんだろ。
「喧嘩しない! 良太郎くんはミルクディッパーに帰る! ハナさんも帰ろ! ね?」
渋々頷いた二人。それぞれ別の方向へ向かう背中を眺めて、私もスーパーへ歩き出した。
ハナさん、かっこいい子だったな。強い子は素敵。自分をしっかり持っていそうで、誰にも流されなさそうで。私はあんまり芯が通ってないから……。
また会えるかな。会いたいな。ワイルドな良太郎くんも、ね!
それから少し経って、私はまたミルクディッパーを訪れた。今日こそ自転車で。天気予報も快晴を告げていたから。
「こんにちは〜」
「咲涼さん! いらっしゃい!」
にこにこ可愛い笑顔の愛理さんに迎えられ、私は迷うことなくカウンターの端っこに座った。
今日も男性陣は喫茶店の女神にメロメロ。そのくせ彼女の目の前に座る度胸のある男は少なくて、大抵は胡散臭いカウンセラーの三浦さんか、喧しい記者の尾崎さんがカウンターに居る。
これはもう定位置みたいなもの。常連と言うには歴の浅い私ですら知っているから、きっとずっとそうなんだろう。
最近、この端の席は私の定位置になりつつある。ここに座りたがる人は少ないから、遠慮せず席を取れるの。
「いつものブレンド?」
「はい! あ、サンドイッチもお願いします!」
……今日は良太郎くん、居ないのかな。
店内を見渡してもそれらしき姿は無い。見えるのは愛理さんを見るばかりでコーヒーには向き合ってない男ばっかり。
溜め息が出そうな光景の中、見つけた一人の女の子。
「ハナさん!」
名前を呼ばれた彼女は驚いたようにきょろきょろした。こんな端っこじゃ見えないよね。
私は彼女の座るテーブル席に近付いていく。そうしたらハナさんはすぐに気付いてくれて、にこっと笑ってくれた。
「咲涼さん!」
「会いたかった〜! 元気でした?」
「はい、私はそれなりに。咲涼さんは? ウラ……えーと、良太郎に変なことされてません?」
全然! と首を振って答える。そもそもあれからミルクディッパーには来ていなかったし、良太郎くんに会うこともなかった。だから……問題は今日どうなるか。
「……向かい、座ってもいい?」
「もちろん!」
良かった!
ハナさんの向かいの席を獲得したところで、愛理さんがブレンドコーヒーとサンドイッチを持ってきてくれた。軽食を頼むのは初めて。美味しそう!
「ご注文のブレンドコーヒーとサンドイッチですよ〜。……二人とも、知り合いだったの?」
「はい。つい最近のことなんですけどね」
「あら、そうなの。それじゃあ二人でゆっくりして行ってくださいね! コーヒーのおかわりも遠慮なく」
「は〜い!」
コーヒーを一口。苦いけれど深い香りが胸をいっぱいにする。サンドイッチのパンは柔らかく、レタスはシャキシャキでハムも美味しい。
……いつもお手製の健康食を良太郎くんに食べさせているから、軽食はどんなものかと少しだけ不安だったけど……すごく美味しい。
「ハナさん、一つどうですか?」
「え、いいんですか?」
「どうぞどうぞ! 一人で食べるのも、ね」
こういうのは誰かと分け合った方がいい。皿を差し出すと、ハナさんは遠慮気味に一切れ取って口に含んだ。
「おいしい!」
「ね〜!」
また頼もうっと。朝ご飯を食べないで来てもいいかな。
「ね、ハナさん。今日は良太郎くんって……」
「買い物に行ってるみたいですよ。私が来たときにはもう居なくて。……ずいぶんかかってるけど……」
ということは、またトラブル? 怪我して帰って来るかも。大丈夫かなぁ。
