I Say A Little Prayer
◆メロ
「あぁメロ、丁度いいところに来てくれた。お願いがあるんだけどいいかしら?」
喉が渇いたのでキッチンでジュースを貰い、自室へ戻ろうとしたところをマリアに呼び止められた。彼女は何だか焦った様子で、手には哺乳瓶を持っていた。
嫌な予感がする。
「僕忙しい。これから予習があるから」
素知らぬ顔をして通り過ぎようとしたが腕を掴まれ、そのままマリアが出て来た部屋の中へ引っ張り込まれた。
「あの子ミルクの時間なの。でも私病院に行かなきゃならなくて。替わってくれる?」
そう言ってマリアは部屋の奥にあるベビーベッドをチラリと見やった。ベッドにはエリンがいて、ちょっとぐずつき始めていた。
「へぇ、どこも悪くなさそうだけど」
「私じゃない。木から落ちて怪我した子を病院に連れて行かないといけないの。だから私の替わりにあの子にミルクあげて頂戴」
メロの返事を無視してマリアは話を続ける。彼女は人の話を聞かない。ここには我が儘な子供が大勢いて、まともにその全部の相手をしていたらきりがないからだ。
「何で僕が? ロジャーは?」
「私がいない時は誰が子供達を見るの? それに今のところあなたが一番年上。年上の子は小さい子の世話をする決まり」
それはマリアが作った決まりで、他にもまだいくつもあったが、どれも守らないと酷い目にあった(おやつ抜きとか掃除や手伝いをさせられるとかいうレベルだったが)。
「くそっ!」
結局、メロはマリアの希望を聞き入れ、エリンにミルクをやる事となった。
頭の良いここの子供達でもマリアには敵わない。子供達は頭は良いがそれ以外はさっぱりで、勉強以外の事は全て彼女が面倒を見ているからだ。
「何で僕が赤ん坊の世話しなきゃならないんだよ。こんなの女の子にやらせればいいのに」
ブツブツ文句を言いながらも、メロは腕にエリンを抱いてソファに腰掛けていたが、そんなメロを見つめながらエリンは一心にミルクを飲んでいる。
「赤ん坊の世話なんて勉強に関係ないよ」
上手いからと言って一番になれる訳でなし。
「お前は暢気で良いよな。好きな時に寝てお腹空いたらミルク貰ってオムツも替えてもらえるし。用があったらただ泣けばいいんだから。それで誰かがすっ飛んでくる」
メロはちょっと怖い顔をしてエリンを見下ろしたが、彼女は泣くどころかモグモグさせていた口を止め、にっこりと微笑み返した。
途端にメロの顔が赤くなった。
「…何だよ…そんなの反則だぞ……」
誤魔化す為にプイッと横を向いたが、部屋にはメロとエリンの二人っきりで他には誰もいない。
「結局…一番世話をしてるのは僕なんだよ……分かってる?」
横を向いたまま呟いたが、その時「アー」と声がした。慌てて下を向くと、哺乳瓶が空になっていて、エリンの口から外れていた。
「ごめん、気づかなかった」
メロは哺乳瓶をソファに置いてからエリンの身体を起こし、肩に抱えるようにして抱き上げた。
「…世話するの…嫌じゃないんだよ」
エリンの背中を何度かさすると「ケフッ」とゲップをしたが、その後すぐにアウアウと機嫌の良い声をあげ始めた。それを聞きながら、メロは肩口にある彼女の頭を軽く撫で、そっとキスをした。
「…良い匂いだね」
鼻から伝わる赤ん坊特有の乳臭い匂いに心地良さを感じ、愛しさで胸がいっぱいになった。
「僕は大好きだけど、エリンは誰が一番好きなのかな」
呟いて、彼女の頭にそっと頬を押し当てた。
「あぁメロ、丁度いいところに来てくれた。お願いがあるんだけどいいかしら?」
喉が渇いたのでキッチンでジュースを貰い、自室へ戻ろうとしたところをマリアに呼び止められた。彼女は何だか焦った様子で、手には哺乳瓶を持っていた。
嫌な予感がする。
「僕忙しい。これから予習があるから」
素知らぬ顔をして通り過ぎようとしたが腕を掴まれ、そのままマリアが出て来た部屋の中へ引っ張り込まれた。
「あの子ミルクの時間なの。でも私病院に行かなきゃならなくて。替わってくれる?」
そう言ってマリアは部屋の奥にあるベビーベッドをチラリと見やった。ベッドにはエリンがいて、ちょっとぐずつき始めていた。
「へぇ、どこも悪くなさそうだけど」
「私じゃない。木から落ちて怪我した子を病院に連れて行かないといけないの。だから私の替わりにあの子にミルクあげて頂戴」
メロの返事を無視してマリアは話を続ける。彼女は人の話を聞かない。ここには我が儘な子供が大勢いて、まともにその全部の相手をしていたらきりがないからだ。
「何で僕が? ロジャーは?」
「私がいない時は誰が子供達を見るの? それに今のところあなたが一番年上。年上の子は小さい子の世話をする決まり」
それはマリアが作った決まりで、他にもまだいくつもあったが、どれも守らないと酷い目にあった(おやつ抜きとか掃除や手伝いをさせられるとかいうレベルだったが)。
「くそっ!」
結局、メロはマリアの希望を聞き入れ、エリンにミルクをやる事となった。
頭の良いここの子供達でもマリアには敵わない。子供達は頭は良いがそれ以外はさっぱりで、勉強以外の事は全て彼女が面倒を見ているからだ。
「何で僕が赤ん坊の世話しなきゃならないんだよ。こんなの女の子にやらせればいいのに」
ブツブツ文句を言いながらも、メロは腕にエリンを抱いてソファに腰掛けていたが、そんなメロを見つめながらエリンは一心にミルクを飲んでいる。
「赤ん坊の世話なんて勉強に関係ないよ」
上手いからと言って一番になれる訳でなし。
「お前は暢気で良いよな。好きな時に寝てお腹空いたらミルク貰ってオムツも替えてもらえるし。用があったらただ泣けばいいんだから。それで誰かがすっ飛んでくる」
メロはちょっと怖い顔をしてエリンを見下ろしたが、彼女は泣くどころかモグモグさせていた口を止め、にっこりと微笑み返した。
途端にメロの顔が赤くなった。
「…何だよ…そんなの反則だぞ……」
誤魔化す為にプイッと横を向いたが、部屋にはメロとエリンの二人っきりで他には誰もいない。
「結局…一番世話をしてるのは僕なんだよ……分かってる?」
横を向いたまま呟いたが、その時「アー」と声がした。慌てて下を向くと、哺乳瓶が空になっていて、エリンの口から外れていた。
「ごめん、気づかなかった」
メロは哺乳瓶をソファに置いてからエリンの身体を起こし、肩に抱えるようにして抱き上げた。
「…世話するの…嫌じゃないんだよ」
エリンの背中を何度かさすると「ケフッ」とゲップをしたが、その後すぐにアウアウと機嫌の良い声をあげ始めた。それを聞きながら、メロは肩口にある彼女の頭を軽く撫で、そっとキスをした。
「…良い匂いだね」
鼻から伝わる赤ん坊特有の乳臭い匂いに心地良さを感じ、愛しさで胸がいっぱいになった。
「僕は大好きだけど、エリンは誰が一番好きなのかな」
呟いて、彼女の頭にそっと頬を押し当てた。