想い
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「…あの女に婚約者がいたことは知ってる?」
和「いや、初耳学」
「その婚約者って言うのがあの女の3つ年上のイベリス様ね
イベリス様は眉目秀麗、文武両道、質実剛健、勇猛果敢…要するに非の打ち所が全くないお方だった
あの女が産まれる前から結婚を約束されてた
けど、二人の仲は最悪
会うたびに喧嘩、喧嘩、喧嘩
16才になって結婚するのが嫌になったあの女は2年前イベリス様の弟に色目使って、イベリス様の料理に毒を盛らせたの」
和「………そ、そんなの何かの間違いじゃ」
「間違いなんかじゃないわよ、私ずっと見てたんだから
あの女、イベリス様という婚約者がいながら、小さい頃から弟の方にばっかり引っ付いて…
もし仮に殺してないとしても、イベリス様が亡くなってからお見合いを繰り返してたのよ!?
私だったら婚約者が殺されたらショックでこんなパーティーなんか出れないわよ」
「それに、あの女の母親だって弱ってた体であの女産んで死んだのよ?
あの女が殺したようなもんじゃない
あの女さえ生まれてこなきゃ良かったのよ!!……ハルくん?」
俺が何も言えなくなっていると、ハルちゃんは話している子の腕をつかんだ
遥「ねぇ、それ本気で言ってんの?」
「や、ハルくん、痛いよ、ね、ちょっと離してよ」
遥「本気で言ってんのかって聞いてんだけど」
「い、痛い!ねぇ、やめてよ、痛いってば!」
和「ハルちゃん、一旦落ち着こ?ね?」
暴力沙汰にしたくないので、ハルちゃんを引き剥がす
遥「ハナがどんな思いで今まで過ごしてきたと思ってんだよ
ハナはずっと独りで苦しんでんだよ
夜は一人で泣いてるし、魘されてることだって、寝れてないことだってあんだよ!
でも、俺らに心配かけたくないからってこの話も自分からしてくんないし、平気なふりしてんだよ!
何なんだよ、ハナが生まれてこなきゃ俺はもう、とっくに殺されてるんだよ
殺されてなくても、俺はちゃんと、心から笑うことだってできなかった
だから、ハナが生まれてこなきゃ良かったなんて二度と言うな」
ハルちゃん…
和「…俺はハナちゃんのことまだよく知れてないから分かんないけど…ハナちゃんはたぶん、ううん絶対にこの世にいなきゃいけない人だよ
俺、初めて会ったんだ…あんなに心が綺麗な子」
そうだ、初めてだったんだ
シンオウにも沢山良い子は居たけど、ここまで心が綺麗な子はいなかった
俺はある程度は顔が整っている自信がある
女の子たちは俺に媚を売ったり、話したりするときに声が高くなったりする
そんな女の子達を見て俺は心の何処かで滑稽だ、可哀想だと思っていた
でも、ハナちゃんはそんな事を一切しない
相手がどんな顔だろうが、どんな立場だろうが対等に話す
俺はそんな子を今まで見たことがなかった
「………もう帰る、お父様に言い付けてやるから!もう契約なんて切ってやるから!」
え、あ、け、契約!?
ヤバイかな?
なんか、俺ら重大な何かを動かしちゃった気がする…
「その心配は御無用ですよ」
和「蒼ちゃん!」
蒼「本日を持ちまして、ヒペリカム家はダチュラ家、ロベリア家、オダマキ家との契約を解除します」