私の決めた道
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ここはショウヨウシティのポケセン
『お風呂あがったよー』
伊「じゃあ、入ってくる」
『亜嵐は?』
伊「ベランダにいる」
『またか』
伊「…大丈夫だろうか」
『ちょっと話してくる、伊吹はお風呂入っちゃって』
伊「あぁ」
ガラッと音をたててベランダに入る
亜嵐気付いてないな…
『亜嵐!』
亜嵐はまだ気付いてない
『あーらーん!』
「…あぁ?…んだよハナか」
『どーした?何か考え事?』
「なんでもねーよ」
そういって亜嵐は頭をかく
…ウソつき
亜嵐は嘘ついてるときとか隠したいことがあるときは必ず頭をかく
一緒にいた時間は短いけれど亜嵐のことはだいぶ分かってきたはずだ
『…今すぐ話せとは言わないけどさ』
『私と亜嵐はトレーナーとポケモン、言ってしまえばそれだけの関係だよ?でも私は家族だと思ってる』
亜「…は?」
『そりゃ、血も繋がってないし、なにより種族も違うよ?』
『だけど、同じご飯を食べて、同じ景色を見て、同じ場所で寝てればそれは家族同然じゃない?』
亜「…」
『亜嵐の居場所はここだよ!私の居場所もここだし、伊吹だってそう』
『だから、悩み事とか一人で抱え込まずに頼ってほしいの』
亜「…」
『お節介かもしれないけどさ、亜嵐は一人じゃないよ、私も伊吹もいる』
「…あぁ」
『……早く入りなね、風邪ひいちゃう』
そういって部屋に戻ろうとすると袖を掴まれ、気がつくと抱き締められていた
『あ、亜嵐!?』
亜「少し…少しだけこのままでいてくれ」
『…ふふっ』
亜「…なんだよ」
『んー?可愛いなーって』
亜「んなっ、可愛くねーよ」
『拗ねないでよー、ほらよーしよーし』
普段背伸びをしても全く届かないが、今はベランダと部屋の間に段差があり、少し背伸びをすれば届く
亜「……」
あら、黙っちゃった
からかい過ぎたかしらん?
撫でる手を止めるが
亜「…止めんなよ」
『今日の亜嵐は甘えたさんだねぇ』
亜「だーれーが甘えたさんだ」
しばらくの沈黙の後亜嵐は話し始めた
亜「……俺の最初のトレーナーはひどい奴だった」
亜「俺らポケモンを道具としか思ってなくてよ
バトルで負ければ飯はろくに食わせねぇし、風呂にも入らせねぇし」
亜「…最初はいい奴だったんだけどな」
亜「二番目の奴も酷かった」
亜「毎回瀕死寸前まで戦わされてよ
って、今考えるとよく俺耐えられたよな」
無理して笑う亜嵐はとても痛々しかった
亜「ま、三番目も四番目も駄目で、そんな中お前に会ったんだ」
亜「お前は俺を道具としてじゃなく〝俺〟を見てくれる」
亜「…だけどよ」
亜「…どこかで疑っちまう自分がいるんだ」
亜「…もう裏切られるこはごめんだ
でも、ハナにまで疑いをかけるのが嫌なんだ」
『…いいよ』
亜「…」
『亜嵐の好きなだけ疑って?亜嵐に信じてもらえるように私、頑張るから』
亜嵐はゆっくりと私から離れる
『もういいの?』
亜「あぁ」
『ん、じゃ、入ろっか』
亜「…サンキュ、元気でた」
『クスッこんなのお安いご用だよ!』
部屋に戻って暫くすると伊吹がお風呂から出て来て、亜嵐も入りに言った
伊「…もう大丈夫なのか?」
『わかんない
でも、今すぐにどうこうできる問題じゃないし…』
伊「そうか」
『ま、気長にいこ!伊吹の時みたいに』
伊「…そうだな」
亜嵐視点
気づくとハナを抱き締めていた
驚いて俺の名を呼ぶ声は、空っぽの胸を満たしていく
使っているボディーソープからはハナ
と同じ匂いがした
驚いた顔
嬉しそうな顔
怒っている顔
小さい子を心配する優しい顔
食ってる時の幸せそうな顔
笑っている顔
拗ねた顔
寂しそうな顔
一つ一つの表情がとても輝いて見えた
その全てがいとおしかった
……完全に惚れちまったんだな
亜「ハナ…」
小さな声で呟いた彼女の名前はシャワーの水音に掻き消されていった