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生意気な年下にうっかり惚れられまして。2年目!

定例ミーティングの15分後、椋太は再びミーティングルームで小原と顔を合わせていた。

「えーと、実際のシステムは後で触ってもらって……」
「軽くは触ってますので、続けてください」
「さすがですね、小原さん。ではその上でお話させて頂きますね」

忙しい中でさすがにまだ見ていないだろうという前提で話し始めたところにすかさず突っ込みが入る。
一瞬ぽかんと間が空きそうになったが、悟られないように冷静に話を続けた。

(隙がないな……この人)

「一通り機能面で重視している点は以上です。ここまでで質問があれば」
「はい。早速ですが、ここと、ここ。もっと押し出せると思うんですよね」

ぽんぽんと、手元の印刷された資料を小原がペンの背で指す。

「もともと営業していたところは大手さんばかりでしたでしょうが、これからは中小も当たられるでしょうし、そうなるとここの機能を推していったほうがいいとおもうんですよね」
「確かにそうですね、さすがです」

一通り今までと同じようなルーティーンで説明したが、今後の改善点として椋太としても気になっていた部分を指摘されてうなる。

「さすが、って思ってます?思っていないこと言わないほうがいいですよ」
「は……」

さすがに口を開けたまま一瞬間があく。

「僕にお世辞は結構ですから。クライアントにベストなソリューションを提供するのが一番です」

そういい切ると、小原は引き続き疑問点などを質問し始める。

(……こい、つ…………)

椋太は持論として、社外社内問わず気持ちのよいリスペクトし合える関係性であったり、コミュニケーションを重視しているタイプだった。
そんな椋太にとっては反対というべき主張に一驚を喫した。

澤村も椋太にとって相当生意気な口をきくタイプだが、小原も別方向に不遜な態度で、二重に驚きを隠せない。

(なんで俺の周りそんなんばっかなんだよ……)

既に面倒な未来が予測できて、頭を抱える。
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