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生意気な年下にうっかり惚れられまして。2年目!

「じゃあ仕様書と指示書作成急ぐんで、申し訳ないけど……」

スマン、と椋太は澤村に手を合わせて頭を下げる。

「……優先順位を変えただけだ、問題ない」

無表情でぶっきらぼうな口調は相変わらずだったが、本当に気にしていないことは今までの付き合いでわかっている。

新規で追加された既存顧客へのアプローチは、思いの外やることも多く、小原との接点も同じように増えた。
しかしそれらの方向性変更から、システム依頼も増え、またこうして椋太は澤村との接点は増えることとなったのだ。

「どういうことが実現できるかとか、事前にブレストできてよかったよ、澤村が声かけてくんなかったらそのまま提出するところだった」

(ホント、澤村には助けられたな……)



3日ほど前の休日。椋太宅に会社帰り、我が家のごとく付いてきた澤村は、ソファでコーヒーを飲みながらそういえば……と切り出した。

「小原さんとなんか新しいことやるってきいたけど」
「ああ、まだ詳細はなしてなくてごめん。そうなんだよ、聞いてくれよ……」

少し愚痴混じりで先日の打ち合わせの話を取り留めもなく話す。

「そうか。じゃあ新しく機能が必要になってきそうだな」
「うん。まだ神崎さんの正式OK出てなかったから話してなかったけど、十中八九そうなると思う」

基本的には同じプロジェクトであれど、他チームへの依頼はある程度確定してから話す事が多い。
ただ絶対な機密というほどでもないので、内々に打診ということもあるのだったが。

「で、どんな機能を想定してるんだ?」
「え、考えてくれンの」
「正式にGOが出るかはわからないが、ある程度は事前に話してもらったほうがいい」
「ですよね~~~」

なんとなくどれ位の工数を割かないとならないのか事前にわかっていると準備もできるし、やりやすい。

「一方的にこういうのがいいって言われても困るからな」

言い方はキツイが、言っていることはわからなくもなかった。
とはいえ、以前だったらこういった物言いにもカチンときていたと思うが。
澤村は言葉が少ないが、根幹には良いものを作ろうとする職人魂みたいなのがある気がしている。

「まあ、俺としてもこういうことが出来るって言ってもらえると助かる。なんせ俺ら営業は、そういうのは表面的にしかわかンねーし」

お手上げというように大げさにリアクションをする。
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