毎日会えるBLノベルができるまで。「なまほれ」編
#8 物語を振り返る・パート2
こんにちは、“なまほれ”こと『生意気な年下にうっかり惚れられまして。』の柚木ちとせです。
前回のメイキングでは、「#7 オフィスラブ、リーマンというジャンル」についてお話しました。
今回は「物語を振り返る・パート2」についてお話したいと思います。
昨日更新の最新話が20話で、とうとう22,000文字も越え、物語も佳境に入ってきました。
再びどのような事を注意したか、またどういう意図だったのかなど、解説したいと思います。
基本的には、重要な物語の組み立てについては10話までに実施していて、告白後は椋太ならどう考える?澤村ならどう動く?という視点で執筆しているため、そこまでノウハウらしいノウハウは前回にくらべたら少ないですが、楽しんでいただければと思います。
(「#11」などのタイトルをクリックすると、該当の話に飛びますので見比べてみると良いかもしれません)
#1~#20を個々で振り返る
#11
とうとう澤村が椋太に告白するという急接近のシーンです。
文章の中に、少しドキドキするような言葉を意識的にいれて、告白というののドキドキ感を盛り上げようと注意しました。
読み手側もどうなるんだろう?!とハラハラしてくれればいいなと思います。
#12
ここでのポイントは「葛藤」です。
私個人のこだわりかもしれませんが、BLは「葛藤」があってこそと思います。
椋太は特にノンケ設定ですので、ここがきっちり無いとだめだなと思いがっつり葛藤してもらってます。
そしてその後もずっと葛藤し続けるのですが……(笑)。
#13
椋太はふだんチャラいのですが、根底は真面目なので、いろいろ考えているというのを出しました。
そして澤村の中である程度区切りをつけてます。
彼の中でどう判断しているのかはまたのちのち。
二人共仕事に忠実なタイプですので、うまく関係を表面的には修復しようとお互いに努力しています。
#14
お互いに気まずさが残っているため、ここではそのギクシャク感を出しました。
#15
ここは椋太の思考ターンですね。
嫌いではないけど、困惑、自分でもよくわからないという部分を、仕事人ならではな感じで自己分析しています。
#16
悩んでばかりで変化がないので、ここではすこし二人の関係のギクシャク感をハラハラする形で入れています。
#17
ココに来てようやく、また二度目の起承転結「転」が入ります。
事件勃発です。なかなか進展しない二人の関係への起爆剤を、外部から取り入れた形になります。
澤村は口数少ないし、椋太は同性初心者なので、性格的に自分たちから進展しづらいということもあってこういった「外部起爆型」をとりました。
他だと、かき回すキャラをつかって勧める「狂言回し型」や受け攻めのどちらかが動く「リーダーシップ型」などがあるかと思います。
またこれもある程度の説明が必要となってしまうため、わかりやすくかつ、彼らのヘマにならないような(笑)仕方ない理由の事件にしました。
#18
ここは前回の続きです。
モヤモヤしつつも仕事は進みます。
#19
さらに事件が勃発です。
17話で事件の前段階、そして自分たちも直接関係のある事件と、どうしても二人が接近せざるを得ない状況を作りました。
また、ここまでくると仕事も忙しいので、椋太の方もだいぶラフな感じになってきているという心境の変化もありました。
切羽詰まった状態だと、ジタバタしても仕方がないことと、なんだかんだで今まで築いてきた絆はあるというものを表現しましたが、その辺が伝わっていたら嬉しいな……と思います。
#20
そろそろある程度椋太の中での気持ちにもケリをつけて貰いたいのもあり、さりげない日常の中で、ストンと腑に落ちるようなそんな形で自分の気持ちをうっすら自覚してもらいました。
椋太のお悩みモードもこれでだいたい終了かな、というところです。
あとはどう動いていくのか……今後にご注目下さい。
10~20話を振り返って総括
基本的にはとにかく葛藤しています(笑)。
BLはある程度障壁があるからこそ燃え上がるという定説と、私のなかで「リーマンモノ」という大人を主軸とした話の中だからこその、ある程度恋愛も仕事もこなしているからこそ考える深い心の動きのようなものを出したくて書いていたのかな、と思います。
正直ここまでくると、キャラが勝手に動き出している状態なので、そこまではコントロールしきっているわけではありませんが、その中でも伝えたいことを織り込んでいった、というのが所感です。
こうなると、あとはどれだけ自分が書きたいものをいれるかになってくるので、ノウハウとして伝えられるものは微々たるものだと思いますが、参考になれば幸いです。
さて、今回のメイキングコラムにて、連載は一旦おやすみとなります。
あとは連載が続く本編にて、どう進んでいくのかを楽しんでいただければと思います。
ここまでお付き合い頂きありがとうございました。
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