毎日会えるBLノベルができるまで。「なまほれ」編
#2 キャラクター設定を作る
こんにちは、“なまほれ”こと『生意気な年下にうっかり惚れられまして。』の柚木ちとせです。
前回のメイキングでは、「#1 テーマ決め」についてお話しました。
今回は「キャラクター設定を作る」についてお話したいと思います。
前回でもちょろっとテーマ決めといいつつキャラクターについてのメモを出させて頂いたのですが、私の中ではどんなキャラクターが動くかというのが大まかに決まらないと、どういったストーリーにするのかが決まらないためでした。
大雑把に「後輩エンジニアと年上営業マンの下克上系」と決めた中で、さらにキャラクターを深掘りしていきます。
キャラクター作りで私が実施していることは以下の項目です。
- そのキャラを一言で表現できるキャッチコピーからキャラを深掘りする
※これがキャラクターの戦略です。ここを基本ブラさないようにします - キャラの生きている背景をイメージし、キャラクターを固める
- 実際に物語を動かし、会話させることによってキャラクターを固める
実際にどのように作っているか、流れをご紹介したいと思います。
キャラクターの戦略・方針を考える
商業作家さんであれば、担当編集さんとどういうキャラにしましょうか、といった話になるかとおもいますが、
今回はBaLoon内での連載ということで、BaLoonの運営スタッフさんと、また同時に連載を開始する星野先生と一緒に、どのような方向性にしていこうかと話し合いました。
テーマ作りにて作った資料を元に、こういう方向性で間違いないか、こういう特徴を出したほうがいいんじゃないかとか、とアイディアベースで話していきます。
前回決めたテーマと共に、実はある程度はキャラの方向性が決まっています。
そう、「後輩エンジニアと年上営業マン」「チャラ男と年下無骨キャラ」といった、キャッチコピーに使えるような、キャラを一言で説明できる特徴を決めます。
ボーイズラブという「キャラクター同士の恋愛」という点において、それは大事な根幹、キャラクターにおおける「戦略」「方針」となります。
深掘りする際、実際に物語にしていく過程でも、それさえブラさなければ、ある程度は臨機応変にゆるく変化していくのは問題無いと思っています。
そして、一言で説明できることが、「このキャラってどういうキャラなんだよ」というわかりやすさ、「キャラ立ち」というものになってくるんじゃないかと私は考えています。
キャラクターを深掘りする
上記の話し合いのなかで、実際の戦略がバチっと決まったところですが、実は話し合いの中にも「こういうのだったら萌える~(*´ω`*)」等、キャラの大事な要素となるものもふわっと出ていたりします。
実は「これは萌える!」と自分でも他人でも思うようなものがとても大切と考えます。
BLは、キャラクターの共感やストーリーの葛藤はもちろんですが、「萌える」という要素も、読み手にとっては重要な要素かと思います。
そのため、話し合いのなかで「萌える!」という言葉が出たら、そのキャラクターは勝ちだと思います。
そういったアイディアで出てきた「萌え」や、作った「戦略」を元に、具体的な戦術である「キャラクターの深掘り」をしていきます。
話し合いを元にまとめた資料が下記になります。
※プロットの部分はネタバレにもなるので途中まで……
今回はスピード重視で連載を開始したということもあり、そこまで項目は多くありませんが、
場合によってはもっとどこに住んでる、どういう友達がいるとか掘り進めてそのキャラクター像を私は作るタイプです。
なぜかというと、そのキャラがどう生きてきたかをイメージできると、自然と「キャラが動き出してくれる」からです。
自分が考えなくても、この子はこういうことを言うな、こういう行動をするなというのがあると、物語もとても進めやすくなるのです。
実際にキャラを動かす
とはいえ、まだキャラクター設定だけでは完璧ではないです。
実際、澤村朔くんはキャラクターシート上では「クーデレ」としてますが、実際に1話を書きながら、「無愛想デレ・無骨デレ・不器用デレ」の方だなと思い、広告などでは「無愛想年下エンジニア」等書いています。
それは話を書いていくうちにきっちり固まってく部分でもあるので、そこはある程度の筋はブレないようにしつつも、臨機応変に対応していきます。
二人に会話させてみると、あ、どういう口調なんだな、とかが見えてきます。
また、実際自分がそのキャラについて、どういう部分を見せたいのか、どういう部分があるから二人がうまく絡んでいくのか、というのが見えてくるため、
そこからさらにキャラクターを固めていくことができるのでした。
おまけのキャラデザイン
キャラクターを固めるに当たって、絵としてイメージできることも重要です。
私は漫画などはかけませんが、簡単な絵であれば描けたため、どんな格好をして、どんな髪型をし、どんな表情をするのかな…と実際にキャラを描いてイメージしました。
白井椋太、澤村朔 キャラクターイメージラフ(柚木ちとせ・画)
上に貼ったものは最終型で、それまで何度か落書きして、これも違う、アレも違うと試行錯誤を何度かしています。
チャラ男っぽくなくてボツになった白井椋太くん(柚木ちとせ・画)
このラフのようなイメージ画は、実際に今回の表紙(?)絵を描いてくださった、まちや真智先生に依頼する際に、
自分の頭の中にあるイメージを伝えるのにとても役に立ったようでした。
そのあたりの詳細についてまた別項目でお伝えできるかもしれませんので割愛します。
いかがでしたでしょうか。
こういうふうにキャラクターを作ることもできるという、一つのサンプルとして、参考にしていただけますと幸いです。
次回は「引きとなる一話目を作る」について話したいと思います。