Vol.3 むろ文子先生
むろ文子先生インタビュー
―商業BL作家としてデビューするまでの経緯やきっかけを教えてください。
むろ文子先生:投稿や持ち込みからです。雑誌さんや、応募可能な電子書籍レーベルさんに色々見てもらってやっとこぎつけた感じです。
電子書籍レーベルさんで描き続けてデビューコミックスまで4年ほどかかりました。
結局その電子書籍レーベルさんでのコミックス発行ではないので、紆余曲折感はありますね…(汗)
コミックス『小説家先生の長かった恋』や今も連載でお世話になっているホーム社さんも持ち込みから現在に至ります。
昨年、一迅社さんとともに初コミックス2冊が2ヶ月連続刊行できたのは本当に奇跡だと今でも思っています。
きっと他の先生方と比べると良い経歴とは言えないのですが、雑誌の賞などで地道に担当さんとじっくり作り続けるよりコンスタントにとにかく作品排出をしていくやり方の方が私には合っていたのだと思います。そして良い経験になりました。
―BL作家になろうという思いはいつ頃からお持ちだったのでしょうか?
むろ文子先生:元々ずっと二次創作同人誌はやっていたんです。
それで、成人したのをきっかけに「やりたいことをやってみよう」と思い立った感じですね。それまで仕事もしていました。
将来のことで悩んでいた時期に、知り合いから「山登ってちょっと考えるとスッキリするよ~」と根拠のない話を教えてもらい、一番近場の800mくらいある山までケーブルカーで登って、2時間ほどボーっと考えて「BL描きたいんだなぁ」と気付いた…という変なキッカケもあります…。
―山登り…!(笑) では、そこで自分の気持ちに気付いてからはひたすら描いては応募して現在に至るという…?
むろ文子先生:山登りといってもただ高いところに行っただけって感じではありますね(笑)
でも、どんな仕事でもキツいことや辛いことが多く、そうした中で一番めげずにできる(やってやるに近いかもですが)と思ったのが一番好きな「漫画を描くこと」であり「BL」でした。山に登ったことで、改めてそれに気付けた感じですね。
―BL作家になって良かったと感じることは何ですか?
むろ文子先生:楽しい、に尽きます。私の場合1作品1カップルなことが多いので、とにかく1カップルをHシーンまで突き詰めて書けるのは楽しいです。
いつかは1作品に何人もカップルがいるような作品も描いてみたいです。
―反対に、商業BL作家として活動する上で難しいなと感じることはありますか?
むろ文子先生:傾向の流行り廃りがとても顕著なので、アンテナを貼り忘れているとすぐ置いていかれるような危機感はあります。
最近は創刊雑誌の数も増え、それに伴いデビューされる作家さんの数も多く、取り残されないよう必死です…!
―ご自身の作品のアピールポイントはどんなところでしょうか?
むろ文子先生:まだまだ未熟なので1作1作手探りですし、読み切りなどはすべて多少なりとも雰囲気を変えて挑んでいます。そして、作品を読んで下さった方にすべてのキャラクターを好きになって貰えるよう頑張ってます!
今でも担当編集さんから「絵が上手くなりましたね!」とおっしゃっていただいて嬉しくなるくらいなので、読者さんも「お、ここが今回うまく描けてるな!」と先生気取りな感じで見ていただいて構いません!
あと、優しい気持ちになれるとおっしゃっていただいたことがあるので、きっとそれがアピールポイントかと思います…!
―やっぱり読者さんからの生の声は特別ですよね。
むろ文子先生:ですね!はじめてのツイッターで直接いただいた感想やお手紙をいただいた時は涙が出ました。今でも宝物です!
―ご自身の作品で読者さんに注目して貰いたいのはどんなところですか?
むろ文子先生:『小説家先生の長かった恋』では、中学生の頃と成人した時に見えるものの違いや、小説家の麻生が書いている小説内容もかなり細かく作ったので気にして貰えると嬉しいです。
むろ文子先生:『結婚しようよビッチくん』はほっこり楽しんでほしいです。
表題のビッチくんは、受の由井がかわいいと思うか攻の古矢が好きになるかが読者さんの間で結構割れたようなので、未読の方はぜひ読んでいただいてどちらが好きか教えてほしいです。