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Vol.14 宮緒葵先生

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宮緒葵先生インタビュー


―宮緒葵先生、本日はどうぞよろしくお願いします。

宮緒葵先生:宮緒葵です。貴重な機会を頂きまして、ありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします。

―商業BL作家としてデビューするまでの経緯やきっかけを教えてください。

宮緒先生:元々、趣味でBL小説を書いていまして、その頃は特に作家になりたいと思ったことはありませんでした。
2010年頃にプラチナ文庫さんで新人賞が開催されたのをきっかけに一念発起し、初めてプロット(っぽいもの)を作って長編を書き上げ、応募したところ、編集長特別賞を受賞しまして、デビューさせて頂きました。
まさか受賞するとは思ってもみなかったので、ものすごく驚いて、ご連絡下さった編集さんに『本当ですか?』と何度も質問してしまったことを今でも覚えています。

―BL作家になって良かったと感じることは何ですか?

宮緒先生:自分の書いたお話を、たくさんの方々に読んで頂けるようになったことです。しかも素晴らしいイラスト付きで!

BLに限らず、昔から、私にとって物語を読むことは人生のご褒美というか、応援団のような存在でした。
プライベートでしんどいことやつらいことがあっても、『あ、○日は○○先生の新刊の発売日だ…よし、その日までは頑張ろう』という感じで乗り切ってきたんですよね。
私の書いたお話も、どなたかにそう思って頂けたら、これほど嬉しいことはありません。

―反対に、商業BL作家として活動する上で難しいと感じることはありますか?

宮緒先生:様々な制限が付いて回ることでしょうか。自分ではこういう設定で書きたいと思っていても、その時期の世相や出版社さんの方針によっては許されない場合もありますので。
あとは勿論、売れなければ次のお話を書かせて頂けないので、売上も意識しなければなりません。

―売り上げを意識せずに先生が今一番「書きたい!」と思われるお話はどんなものでしょうか。

宮緒先生:女君が全員男性になった源氏物語でしょうか。主人公は源氏の君(もちろん男)で、葵の上(男性)とか紫の上(男性)とか六条の御息所(男性)とかに迫られまくって逃げ場が無い感じの。

―それは一読者としてすごく興味深いです……!

宮緒先生:そうおっしゃって頂けると嬉しいです(笑)。そしてラストは、まさかの惟光(源氏の乳兄弟)エンドとか…。
原作(源氏物語)を読んでいると、最初から最後まで源氏の傍に居るのって惟光だけなんですよ。明石に流された時も当然のように付いていってますし……。
紫の上なんて、正妻なのに京で悶々としていたのに(笑)。

―何だか源氏物語をきちんと読んでみたくなりました。先生の書かれるオール男子版も楽しみにしています(笑)。

宮緒先生:ぜひぜひ! お勧めですよ。当時は両刀も珍しくないので、源氏も男の子と関係持ってますから面白いですよ!
私も隙を見ては編集さんにそれとなくアピールしておこうと思います。

―ストーリーやキャラクターのアイデアの源泉は何ですか?

宮緒先生:ジャンルを問わず、面白そうだと思った本は何でも読むことかなと思います。まだBLというものを知らなかった幼い頃から本を読むのが好きで、小説や漫画は勿論、プレイすらしたことの無いゲームの攻略本や家電の説明書など、興味を持てば何でも読んできました。

私は時折、ぽんっと頭の中にストーリーやキャラが生まれるのですが、それも今までに読んできた本から得た知識が混ざり合い、いい土壌になってくれているおかげではないでしょうか。

―物語を考えるにあたってのこだわりを教えてください。

宮緒先生:どんなお話を書くにしても必ず一つは自分らしい要素を入れることと、良い意味で読者さんの予想を裏切る展開を組み込むこと。
あとは、主人公(受け)が攻めに死ぬほど愛されていることです。

―受けが溺愛される……そこはやはり先生ご自身のBLにおけるご趣味でもあるのでしょうか。

宮緒先生:そうですね。趣味というか、もう信念に近いです。
私の書くお話は、受が攻のことを最初あまり好きではない(というかむしろ嫌い)なパターンが多いのですが、その壁を突き崩すには、攻が受のことを死ぬほど愛していないと難しいだろうなと。

―単行本のあとがき等で先生ご自身もおっしゃっていましたかと思うのですが、先生の書かれる攻めキャラって、わんこではなく「犬」なんですよね。

宮緒先生:そうですそうです。わんこと犬の間には、越えられない壁がそびえているのです(笑)。

―わんこなんて生やさしいもんじゃない!という(笑)。

宮緒先生:人間の皮をかぶった二足歩行の犬だと思って頂ければ……。そして無駄に知能だけが高いという。

―そして犬であるが故に変態攻めと言われてしまうのですね……!

宮緒先生:変態は褒め言葉ですよ!

―(笑)。そうした変態攻めを書かれる時って、先生ご自身はどんなテンションなんでしょうか。

宮緒先生:ものすごくハイテンションになっていますね。頭の中で無数の兄貴たちがお神輿をわっしょいわっしょいと担ぎながら練り歩いている感じというか、何かに憑りつかれているような感じというか……。
ハイテンションになっている自分を、冷静な自分が見下ろしているようなイメージです。そして書き終わると一気に反動がきて、どっと疲れます……。

―それはもう変態攻めトランス的な……。

宮緒先生:変態攻めトランス……まさにそんな感じですね。
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