Vol.12 夏野寛子先生
夏野寛子先生インタビュー
―夏野寛子先生、本日はよろしくお願いします。
夏野寛子先生:夏野寛子といいます。2016年からお仕事でBL漫画を描き始めました。
祥伝社さんからコミックス『冬知らずの恋』が出ています。よろしくお願いします!
―商業BL作家としてデビューするまでの経緯やきっかけを教えてください。
夏野先生:元々漫画もイラストもあまりたくさん描いている方ではなかったのですが、ふと「これからどんどん時間が取れなくなっていくなら今描いておかなくちゃ後悔する…!」と思って二次創作の同人誌を描き始めました。その同人誌を見てくださった今の担当さんに声をかけていただけたのがきっかけです。
―BL作家になって良かったと感じることは何ですか?
夏野先生:BL漫画が大好きでずっと憧れだったので単純に嬉しいです。好きなものに一生懸命になれるのは幸せだなぁと思います。
―反対に、商業BL作家として活動する上で難しいと感じることはありますか?
夏野先生:たまにですが、どんなに自分が萌えても商業的であったり倫理的な理由で表現を諦めなくてはいけない場面があって、そういう点は少し難しいかもしれないです。
―ストーリーやキャラクターのアイデアの源泉について教えてください。
夏野先生:始めに大まかな設定を決めたら、言わせたいセリフや描きたいシーンが浮かんでストーリーになっていく感じです。
『冬知らずの恋』では「男子高校生」「夏」「アパート」など描きたい情景が先に浮かんで、そこからお話を描き出しました。
―魅力あるキャラを生み出すためのポイントはありますか?
夏野先生:漫画を描き始めたころはその点をあまり考えずに描いてしまって後から反省しました…難しいです。
でも内面と外見のバランスは気にして描いているかもしれません。
キツい顔立ちで無口な人と、優しい顔立ちで無口な人とではどっちが萌えるか、みたいなところが個人的に大事な萌えポイントなので!
―物語を考えるにあたってのこだわりはありますか?
夏野先生:まだ自分のこだわりがどこにあるのかよくわからないのですが、読後感の良いものを描きたいなぁとは思いながら考えています。
―物語の緩急の付け方のポイントについて教えてください。
夏野先生:私が教えてほしいです…!
展開の緩急をつけるのが苦手で意識しないと淡々とした物語を描いてしまうので、キャラクターの動作や表情に変化をつけてなんとか緩急をつけている感じです。
あとはポイントとは違うのですが、コマ割りで気持ちいい緩急をつけれた時は嬉しいです!
―BLを描く上で楽しいと感じることは何ですか?
夏野先生:BLは男の子をいくらでも色っぽく魅力的に描いていいというところが最高だと思っているので見つめ合ったり体が触れたりする色っぽいシーンを描くのがすごい楽しいです。描いてるテンションが全然違います!
―原稿作成の過程の中で最もこだわっている工程と、その理由について教えてください。
夏野先生:下書きとペン入れの工程ですかね…。作画の工程は手数が多くなりやすい気がします。
ネームに自信がないのであとはもう描く量を人一倍頑張らなくてはというのが理由です。
―漫画原稿を描く上での先生なりのこだわり、気を付けていることなどは何ですか?
夏野先生:男の子を魅力的に描きたいと思いながら描いています。
感情や空気感が伝わるようなポーズや仕草になるように心がけているのですが、特に表情はキャラクターのその時々の心情にできるだけ近い顔になるよう、いつも苦心しています。
というか単純に人の顔がめちゃくちゃ好きなので顔のデッサンに作画時間の9割くらいを割いてしまってます!全然気に入った顔にならなくてずっと顔ばかり直してるんです…。
―参考にすることの多い資料などを教えてください。
夏野先生:背景を描く時は資料集や自分で撮った写真を参考にすることが多いのですが、描くことが作業になってしまうとつらいので、カッコいい!描きたい!と自分のモチベーションを上げるために雰囲気のいい写真をネットなどで探して見るのが結構効きます!
人体がわからない時は『スカルプターのための美術解剖学』が1番頼りになります。