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Vol.11 凪良ゆう先性

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凪良ゆう先生インタビュー


―商業BL作家としてデビューするまでの経緯やきっかけを教えてください。

凪良先生:元々は少女漫画家志望でしたが創作から遠のくこと数十年後、ふと昔好きだったアニメをネットで見てオタク心が再燃。二次漫画を描きたくても技術が劣化していて断念。だったら小説を書こうと軽はずみに挑戦しました。

それがすごく楽しくて、でも同人活動もサイト活動もしていないのでただ書くだけ。もったいないからどっかに出してみればと知人が言ってくれて、オリジナルを書いて投稿したら賞をいただけました。そこから担当さんがついてデビューという流れです。

―漫画家志望で小説家になられるケースって、珍しいのではないでしょうか?

凪良先生:いえ、結構聞きますよ。私の狭い交友関係の中でも、もともと漫画を描いてた方が二人ほどいます。

私の場合はブランクが十年以上あって、久しぶりにペンを持ったらもう全然描けなくなっていたんですよね。でも何か描きたいなぁって思って、じゃあ小説に挑戦してみようと。

昔から絵を描くことが好きで、少女漫画家を目指すことを考えていたのは高校生の時ですね。中学生の頃は、オタクっぽくキャプテン翼の同人誌を描いたりしていました。全勢期だったので(笑)。

―投稿作の執筆時は、「こういうものが書きたい」という強い思いがあったのでしょうか?

凪良先生:私が創作活動をしていた当時って、まだ世の中にBLっていう言葉は無かったんです。「JUNE」とか「やおい」とかそういう名前で呼ばれてて、そしてその後もう一回そのジャンルに戻ってきた時にボーイズラブって名前に変わっててびっくりしたんですね。横文字になってる!なんだこりゃ!って(笑)。

しかも昔は悲惨な話が結構多かったんですけど、もうボーイズラブはとにかく明るかったんですよね。男同士っていうことに全然悩んだりしてなくて。

そうした中で、「じゃああんまり暗いのは書かずに明るい感じで書こう」って感じで書いたんじゃないかと思います。もう十年以上も前のことなんで、よく覚えてないんですけど(笑)。

―ストーリーやキャラクターのアイデアの源泉は何ですか?

凪良先生:映画、小説、漫画、音楽、普段の友人との会話からインスパイアされているような……。意識せずに自分の中に蓄積していって、お風呂や散歩や料理中にふっと出てきます。

―映画や漫画、音楽などの作品で特によく触れていらっしゃるジャンルなどはありますか?

凪良先生:映画は結構見るのですが、まったりした雰囲気のものが多いですね。衝撃的な事件が起こっていてもアクションに繋がらない映画が多いです。

漫画ですと、元々少女漫画家志望だったこともあり、少女漫画が多いですね。特に大島弓子さんの作品が好きです。

また、音楽に関しては本当にあらゆるジャンルのものを聞きます。音楽だけはないとダメなので、一日中掛かっていますね。あんまり大きい音では原稿の妨げになるんですけど、ずっとBGM的に何かしら流れてます。

―物語を考えるにあたってのポイントを教えてください。

凪良先生:当たり前ですが、自分の書きたいものを曲げない、ことでしょうか。

―「BL小説」というジャンルだからこそ気を付けていることはありますか?

凪良先生:大きく括ると恋愛小説カテゴリで、恋愛は心理の積み重ねなので、心理描写は力を入れてます。

あとハッピーエンドで締める。とはいえ幸せの形は千差万別なので、これが幸せの形なんだと自分が信じられれば、多少はみ出した結末もリスク覚悟で書きます。
『おやすみなさい、また明日』『ショートケーキの苺にはさわらないで』『2119 9 29』などがそれに当たります。

―「BLはハッピーエンドが当たり前」という風潮が根強い中で、あえて違った結末を書く上でのこだわりなどはありますか?

凪良先生:いつも描きたいものを単純に書いているだけなので、こだわりはないんです。やっぱりそれぞれのお話やキャラクターによって結末は違うので、どうしてもアンハッピーエンドが書きたいというこだわりがあるということではなくって。
話によって絶対こうじゃなきゃいけないというのはないと思うので、話の構成とキャラクターによっては色々な結末があっていいと思っています。

ただ、BLだとなかなかそういう可能性のある結末というのは読者さんに歓迎されない部分もありますよね。やっぱり美しくハッピーエンドでまとまっているのがお約束というか。

恋愛がメインのジャンルなので、もちろんハッピーエンドが一番喜ばれるんだろうなという意識は常にあるんですけど、たまにどうしてもはみ出てしまって困るなぁという感じです。

結末がアンハッピーなものになると担当さんとのバトルが始まるのですが、私の担当さんはずっと組んでる方が多いので、なんとなく分かってくれているというのがお互いにあるんですよね。なので、そんなに真剣な喧嘩とかにはなる訳ではなくて、お互いの手の内を分かった上で「ここはちょっと譲ってほしいなぁ」とか「じゃあここは譲る代わりにここは書いてもらっていいかな?」とか、そういう相談をしていく感じですね。

もちろん読者さんが喜んで下さらないと駄目なので、そこはバランスを取りながらになるので難しいです。
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