Vol.10 ためこう先生
―魅力あるキャラを生み出すためのポイントは何ですか?
ためこう先生:何かキャラクターの性格の一部を強調(デフォルメ)しています。すごくビッチだったり、すごく束縛感が強かったり。あと単純に、顔を綺麗設定にしがちです。
―物語を考えるにあたってのこだわりはありますか?
ためこう先生:できるだけハッピーエンドにする事です。どんなに暗くて特殊性癖の話でも、基本ベースには愛があるというのを目指しています。
―BLを描く上で楽しいと感じることは何ですか?
ためこう先生:先ほどお話ししたことと一緒になってしまいますが、好みの男の子を描けることです。好みの男の子同士をじゃれ合わせるのが最高に楽しいです。
―BLというジャンルだからこそ気を付けていることを教えてください。
ためこう先生:自分の性癖に偏りすぎない事です。
―今まで描かれてきた中で、「チャレンジしたな」と思う設定やシチュエーションなどはありますか?
ためこう先生:基本的にどのお話を描くときも、以前描いたものとは違うものにしようと思いながら描くので、毎回チャレンジしている気ではいます。
カップリングでチャレンジしたといえば、『僕のセックススター』(祥伝社)のカップルでしょうか。このあたりから体格の良い、胸筋のある男性をよく描くようになったと思います。(受けもガッチリ、胸筋ある設定です)
設定で言えば『カッコウの夢』(祥伝社)です。あまりキャラ押しではない、心情の変化を中心に描いていこうとチャレンジしたお話です。
『ララの結婚』も、今まで描いたことがない民族BL風を…という事でいろいろチャレンジしました!
―先生にとってズバリ「萌え」とは?
ためこう先生:BL的な観点で言えば、少しかわいそうな男の子が昔から好きです。あと、美しい攻めにも萌えます。
また、これは昔からずっと言ってるんですが、綺麗な黒髪の男の子がそこらへんの不良の先輩が適当に言った「お前ださいから髪でも染めれば?」って言葉に「はぁ……」って言いながら簡単に染めてしまうといったようなシチュエーションが好きです。せっかく綺麗な黒髪が汚い金髪に……もったいない感……萌えますよね。
あとは、田舎で浮く美少年も好きです。田舎だから平均よりも秀でているとその美しさが逆にマイナスになるというか……。
東京に出てきたら絶対にモテるのに、田舎に生まれたばっかりに……。これももったいない感に萌えます。
ただ、こうしたシチュエーションに限らず、「これだけはどうしても譲れない……」と時間をかけて描いてしまうところやこだわってしまう部分は、自分のフェチというか萌えなのではないかな、と。
例えば、私はセリフとか漢字にはいっさいこだわりがないので、編集さんに「この部分のセリフとか漢字は変更OKですか?」と聞かれた場合はすぐOKしちゃうんです。他にもタイトルとかキャラの名前、出身地など……そうしたものにはあまりこだわっていなくて。
でも、男の子の目尻のまつげ短くしてくださいと注文されたら絶対やだって食い下がります。(今まで言われたことはないですけど)
だから私はまつげフェチなんだなーと思っています。あとは目と唇と髪の毛と指(爪)と袖から覗く身体とか……綺麗な線とかも異常に好きです……。
―参考にすることの多い資料はありますか?
ためこう先生:エッチなシーンのモノローグは小説をよく参考にしています。
小説には登場人物の心情が事細かに描いてあるので、作品を描く際に心情の変化の流れは昔読んだ小説など思い出して考えたりする事があります。
エッチシーンの話だと、小説だと喘ぎ声のバリエーションが多い気がするので参考にさせていただいています(笑)。あと、襲われた受けの、無理のない快楽堕ちへの心情の変化などなど……。BL小説ってエロシーンが細かく描いてあるので尊敬します!