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Vol.9 栗城偲先生

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―小説を描く上での先生なりのこだわりはありますか?

栗城先生:それなりにあるのですが、いくつか挙げると、文章については「読みやすさ」を意識しているつもりです……。

それから、登場人物の名前については、あまり読者さんの親類縁者とかぶらないように、と思っています。それもあって、学生キャラの名前は結構キラッとさせてます(笑)。

これは私がデビューしたてのとき読者さんから「兄弟(や知り合い)と同じ名前で萎えた」というご意見をそれなりに頂いたので、それ以来留意している点のひとつです。
苗字も同様ですが、単純に「佐藤」「鈴木」「山田」などは特別な意味がない限りメインキャラでは通りにくいというのもあります。

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―「読みやすさ」を自分で客観的に図ることって難しいですよね。小説であれ事務的な書類であれ……。

栗城先生:あ~、それはよくわかります。書類とかビジネスメールは本当に「読みやすく」が難しいですよね。

ただ、小説の場合はある程度ルールがあるというか。
例えば、句読点の数だったり、一行の長さだったり。他にもひらがなや漢字の連続とか、挙げれば色々あるのですが、そういう点や語彙の難しさ、文章のテンポなどを自分なりに気を付けているつもりです。

―そのあたりのルールは、やはり読書の経験などから自然と身についていく部分も大きいですよね。

栗城先生:読書とは無縁で作家になるかたもいらっしゃるようなのですが、やっぱり文章を書く上で、読書の影響はとても大きいと思います。
自分自身、BL小説、一般作品ともに結構読んでいた方じゃないかなと思います。

―参考にすることの多い資料などは何かありますか?

栗城先生:私の場合は同じテーマで書くことがあまりないので、資料はその時々によって変わります。

そうなると、一番多いのはやはり辞書でしょうか。私の場合辞書を読むのが好きというのもあるのですが。
三省堂の『てにをは辞典』という結合語の辞典が参考になりますし、読むだけでも面白いのでおススメです。

―言葉選びのポイントについて教えてください。

栗城先生:文章や言葉はなるべく平易にするようにしています。
実は私は初期の頃、編集さんたちに「内容(テーマ)やキャラの性格に比べ、文章が固くて難解な語彙が多い」とよく注意されて、だいぶ文章を直していたのです。今もよく直しています。

初出にルビは振るものですが、振ったとして意味がすぐに解せないと思われるものは今でもはねられますし、そうならないように気を付けています。

それと、幼稚園で毎朝、詩人の坂村真民さんという方の「七字のうた」というのを暗唱させられていたのですが、それで所謂「さくさく読みやすいテンポ」がしみついたのかなとも思います。違うかもしれないですけど(笑)。

―本日は、貴重なお話をありがとうございました。

栗城先生:こちらこそ貴重な機会を頂き、ありがとうございました。
あまりインタビューをして頂く機会などないので、とても緊張しました。なんだかとても余計なことを話した気も致しますが、楽しかったです。

―最後に、読者さん、BL小説を書かれている方へのメッセージをお願いできますか?

栗城先生:改めまして、栗城偲と申します。

読んでくださったことのあるかたは、いつも本当にありがとうございます。もしかしたら読者さんの知りたい内容ではないことも言ってしまったかもしれないのですが……。
未熟者ですが、これからも頑張りますので、なにかお好みのものがあれば手に取って頂いて、そして少しでも楽しんで読んで頂ければ幸いです。

創作を行っていらっしゃる方へ。私が言うのも大変おこがましいのですが……楽しく書くのが一番です。
義務や、「締め切りに間に合わないから」と書くのはプロになってからでもできることなので、まずは「楽しく、自分の好きなものを」。そして「納得いくものを書いて、読み返して、それから出す」というのがいいと思います。

それと、私はデビューから一冊目の本が出るまで約五年くらいかかっています。
なにかの事情があって続けられない、と思っても、待って頂けるものなので、恐れず投稿してみてください。

ここまでお読み頂いてありがとうございました。

―栗城偲先生、インタビューありがとうございました!
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