Vol.5 ビリー・バリバリー先生
—アナログでの制作がメインとのことですが、カラーの場合はアナログ線画をデジタルで仕上げるような形なのでしょうか。
ビリー先生:『真夜中のオルフェ』のように線画が主体のカラーを描く時はA3の原稿用紙に鉛筆で描き込んだものをスキャン→クリップスタジオの手順です。鉛筆線画は楽しいのですが少し手が掛かるので、主線をペンにすることも多いです。
(C)libre 2016
ビリー先生:『朝とミーチャ』は厚塗りなので、デジタル上で完結しています。カラーについてはその都度ツールが変わることが多いです。
―『真夜中のオルフェ』は表紙や扉絵がとても緻密で美しく印象的ですが、こちらのコンセプトや制作手順について教えて頂けますか?
ビリー先生:左上から1話~5話の扉カットとなっており、右下は表紙線画です。
(C)libre 2016
ビリー先生:ひとりでは眠れず、出逢い、共に眠り、そして目覚めるまでになります。本編の内容に沿って変化していくものになりました。
こちらの扉カットの線画は、コミックスではトーンが加わった状態で仕上がっています。こんな感じの枠やクッションなどの少し非現実的なモチーフは、かなり私個人の趣味に走ったものだったのでとても楽しい作業になりました。
手順としては以下のようになります。
①ざっくりとラフ
②細かい部分を描く為にラフをB4サイズに拡大し出力
③反転してアタリ
④原稿用紙の裏をトレス台で透かしながら原稿用紙の表に鉛筆画を仕上げる
本編の扉カットはモノクロなので、更にペン入れ、トーンで仕上げています。
コミックス表紙カラーは前述のように④の鉛筆画の状態のものをスキャンし、クリップスタジオで着彩しています。
―二人を彩る枠のモチーフや構図など、各カットそれぞれにまた違った魅力がありますよね。
ビリー先生:連載中はドタバタしていたので枠は使い回しなのですが、天辺のモチーフを内容に合わせて月から太陽に変えたりしています。
5話の構図は今見てもちょっとやり過ぎたかな…と自分でも思いますが、5回目にして構図のネタ切れに降参し、これになりました。キャラクター提案当初に「姫と騎士」というのがあったから…最終話だから…と、担当編集さんに必死に言い訳したのを覚えています。