Vol.4 木村ヒデサト先生

木村ヒデサト先生インタビュー
―木村先生の作品においては、一筋縄ではいかない先の読めない物語展開も大きな魅力のひとつですよね。
ストーリーの設定などは、どのような時、どのようにして浮かんでくるのでしょうか。
木村先生:ストーリーの思いつき方。昼夜問わず、急にネタのタネがひとつぽろっと頭のなかに落ちてきます。私はぼんやりと、あーネタが落ちてきたなあと思います。するとその一粒は勝手に根っこと蔓をずるずると伸ばし始めます。これを世間では妄想と言います。
きちんと意識があるのはそのあとからです。話の筋となる太い幹を育てたり、面白くするための目印が付いてある枝を探したりします。実が付くかな?未来のある樹かな?そんな感じで行き当たりばったりやってます。
基本的には、日常のちょっとした非日常からヒントを得ています。
―どのようなものからインスピレーションを受けることが多いですか?
木村先生:あまり外に出ないせいか、動くものには特にインスピレーションを受けますね。部屋に入ってきた虫とか。
この前は部屋に入ってきた大きい蛾にファンタグレープをあげました。ものすごい勢いで吸ってました。ストーリー性が高い。
―先生の作品に漂う、淡々としていながらも少しヒリついたような独特の空気感はどのようにして生まれているのでしょうか。
物語を構成していく上でのこだわりや、気に掛けるようにしていることなどはありますか?
木村先生:構成に関しては「この流れ以外ないだろう」と自信満々に提出しますが、これは自分なりの精一杯の自然なつじつまなので何の指南にもなりませんね。
「淡々としていながら~独特な空気感」と評価していただけた点については、シリアスもギャグも描きたいせいかなと思います。以前担当編集さんとネーム直しバトルをしておりました際、「シリアスの中にある照れ隠しのギャグシーン」と言われ初めて気付きました。ハッとした以上に、めちゃくちゃ恥ずかしかったです。
いつも気にかけていることは、おもしろい物語になっているかということ、辻褄を合わせること、あとはカタルシスです。
―デザインや性格など、キャラクターを肉付けしていく際のポイントなどはありますか?
木村先生:まったくもってよくない傾向なのですが、先にストーリーだけを考えてしまう癖が抜けず、キャラクターに関しては気付いたらそこに居たという感覚です。
拙作「鬼は笑うか」では、受けの柏瀬くんの思考を早い段階で把握できましたが、攻めの星谷くんはラスト付近でやっと自分の庭に入ってきてくれた感じです。
きっと柏瀬くんが先に恋をしはじめたからでしょうね。星谷くんは中盤くらいまで遠方の知り合いという感じでした。時期は遅かれどうちに遊びにきてくれてよかったです。
なんにせよいつでも萌えるキャラ設定・萌える関係性が欲しいです。
―木村先生の作品では、まさにキャッチボールという形でぽんぽんと交わされる登場人物同士の会話が非常に印象的ですが、キャラクターを動かす際に意識していることなどはありますか?
木村先生:先述の通り、私はストーリーを先にガッツリ作ってしまう宜しくないタイプですので、このページで何が起きます、と1ページごとに決めていきます。そのままコマを埋めようとします。
すると不思議なことに前後が繋がっていないのです。ストーリーを作ったのに。繋がっていないのです。
なぜならストーリーだけ埋めて、紙の中にいる人間が言いたいことを無視しているからです。私はそんな温度差がバキッと激しすぎるページの処理に困り、取り急ぎ吹き出しを書いて全体的にグラデーションにしようとします。しれっと、キャラクターが勝手に喋ってくれます。たまに喋ってくれないこともありますがそれは私とまだ仲良くないためです。私がコミュ障なばかりに…。つらい。とにかくグラデーションにします。
そんなわけで喋れ喋れと促しているためにキャラ同士が饒舌にコミュニケーションを取っている図が完成します。
キャラクターを動かす時に意識していることは?という質問にお答えすると、「とにかく円滑に喋りだしてくれ」と前向きに祈ることです。後ろ向きだと喋ってもらえない。
―コマ割りやモノローグの入れ方など、漫画を描く上でのこだわりや気を付けていることはありますか?
木村先生:別段変わったこだわりは無いのですが、強いて言えば奇数偶数ページの原稿用紙を見開きで並べて、コマの割合は気にしています。
見開きで意味がありそう風な方がかっこいいと思いますので。
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