生意気な年下にうっかり惚れられまして。2年目!
「……ありがとうございます。少し予定時刻をオーバーしてしまいましたね、質問が多くてすみませんでした」
(お……?)
謝ることを知らなそうな不遜な態度だったが、きちんと謝ることができるんだな、と少し申し訳無さそうな表情にほっとする。
「いや、大丈夫です。しっかりと商品を打ってもらう為の疑問ですから、分かってもらえたのならよかった」
今までのちょっとした苛立ちの積み重ねを払拭するような態度に、笑顔で答える。
「僕としても気になっていた事が調整できたようでなによりです。僕はまだ入れないので、水瀬さんでしたっけ……もうひとりの方にも情報共有をお願いします、戦略がチーム内で異なるようでしたら困りますから」
(前言撤回……澤村なみにかわいくない……っ)
「きちんと伝えておきますよ。今度3人でも打ち合わせをしましょう」
怒りを隠しながら、笑顔を力強く作る。
「ふ……」
「……?なんでしょうか」
不敵な笑顔を口元に浮かべた小原に椋太は疑問に思うが、なんでもありませんよ、とはぐらかされる。
「では、またチャットで3人都合の合う日をネゴさせてください」
「はい。私は基本スケジュールが空いている箇所でしたらいつでもかまいません」
「わかりました。ではまたわからないことがあれば、チャットで聞いて下さい」
こうして二人だけのミーティングは終わった。
デスクに戻ると、澤村が丁度探していたのかこちらの顔を見て頷く。
「なにかあったのか?」
「アンタの新しい資料みたけど、ココ、修正するべきだ」
「は?」
さっきの苛立ちも冷めやらぬまま、生意気な男がまたなにかを持ち込んだのかとため息とともに頭を振る。
「この書き方ではだめだ」
「どうだめなんだ」
澤村の言葉が足りないのはいつものことだったが、つい当たるような刺々しい声になる。
その声に少し驚いたような表情を見せる。
「……すまん、これでは誤解を生む可能性があるといいたかったんだ」
「そうならそうと言え最初から」
空気の重さに気づいたのか、一緒に来ていたシステム一のお調子者、井村が心配そうに口を挟んできた。
「白井さん、ごめん。これに気づいたんは俺なんだよ。こっちも営業さんが誤解するような説明のし方しちゃってたところがあってさ、ホント申し訳ない!」
詳細を聞くと、それぞれの認識に齟齬が一部あったことがわかり、お互いに確認を密にしようということで落ち着いた。
「いやー……めずらしいね、白井さんがそんなカリカリしてるの」
和らいだ空気に戻ったからか、いつもどおり軽口を井村が叩く。
「すみません、少し余裕がなかったみたいで。当たってしまいました」
「いやいやいいんだよ。白井さんと澤村が仲いいから余計にきつく当たっちゃうんだなって思うし」
「そんなことは……」
仲良い。そう思われているんだな、と椋太は苦笑する。
自分たちは社内でも口論ばかりしているのに。
「ま、二人でランチでもいってきな。夫婦喧嘩は早期解決に限る」
「は?!」
二人の仲を知ってるかのような言い方に少しドキッとする。
(バレてるわけ、ないだろうけど……)
胡散臭そうに井村を睨むが、ヘラヘラと笑うばかりだ。
「井村さんはランチいかないんですか」
「いや、俺は仕事がもうちょい残ってるからね。二人でいってきな~」
井村がふわふわと手をふるのをみながら、椋太はもう一度ため息をついた。
(お……?)
謝ることを知らなそうな不遜な態度だったが、きちんと謝ることができるんだな、と少し申し訳無さそうな表情にほっとする。
「いや、大丈夫です。しっかりと商品を打ってもらう為の疑問ですから、分かってもらえたのならよかった」
今までのちょっとした苛立ちの積み重ねを払拭するような態度に、笑顔で答える。
「僕としても気になっていた事が調整できたようでなによりです。僕はまだ入れないので、水瀬さんでしたっけ……もうひとりの方にも情報共有をお願いします、戦略がチーム内で異なるようでしたら困りますから」
(前言撤回……澤村なみにかわいくない……っ)
「きちんと伝えておきますよ。今度3人でも打ち合わせをしましょう」
怒りを隠しながら、笑顔を力強く作る。
「ふ……」
「……?なんでしょうか」
不敵な笑顔を口元に浮かべた小原に椋太は疑問に思うが、なんでもありませんよ、とはぐらかされる。
「では、またチャットで3人都合の合う日をネゴさせてください」
「はい。私は基本スケジュールが空いている箇所でしたらいつでもかまいません」
「わかりました。ではまたわからないことがあれば、チャットで聞いて下さい」
こうして二人だけのミーティングは終わった。
デスクに戻ると、澤村が丁度探していたのかこちらの顔を見て頷く。
「なにかあったのか?」
「アンタの新しい資料みたけど、ココ、修正するべきだ」
「は?」
さっきの苛立ちも冷めやらぬまま、生意気な男がまたなにかを持ち込んだのかとため息とともに頭を振る。
「この書き方ではだめだ」
「どうだめなんだ」
澤村の言葉が足りないのはいつものことだったが、つい当たるような刺々しい声になる。
その声に少し驚いたような表情を見せる。
「……すまん、これでは誤解を生む可能性があるといいたかったんだ」
「そうならそうと言え最初から」
空気の重さに気づいたのか、一緒に来ていたシステム一のお調子者、井村が心配そうに口を挟んできた。
「白井さん、ごめん。これに気づいたんは俺なんだよ。こっちも営業さんが誤解するような説明のし方しちゃってたところがあってさ、ホント申し訳ない!」
詳細を聞くと、それぞれの認識に齟齬が一部あったことがわかり、お互いに確認を密にしようということで落ち着いた。
「いやー……めずらしいね、白井さんがそんなカリカリしてるの」
和らいだ空気に戻ったからか、いつもどおり軽口を井村が叩く。
「すみません、少し余裕がなかったみたいで。当たってしまいました」
「いやいやいいんだよ。白井さんと澤村が仲いいから余計にきつく当たっちゃうんだなって思うし」
「そんなことは……」
仲良い。そう思われているんだな、と椋太は苦笑する。
自分たちは社内でも口論ばかりしているのに。
「ま、二人でランチでもいってきな。夫婦喧嘩は早期解決に限る」
「は?!」
二人の仲を知ってるかのような言い方に少しドキッとする。
(バレてるわけ、ないだろうけど……)
胡散臭そうに井村を睨むが、ヘラヘラと笑うばかりだ。
「井村さんはランチいかないんですか」
「いや、俺は仕事がもうちょい残ってるからね。二人でいってきな~」
井村がふわふわと手をふるのをみながら、椋太はもう一度ため息をついた。