生意気な年下にうっかり惚れられまして。2年目!
週明け月曜。
朝からプロジェクトのミーティングが入っていたため、少し早めに出勤する。
グループウェアで会議室の場所を確認して席を立つと、丁度後輩の水瀬も席を立ったところだった。
「あ、もういきます?」
「ああ、そうだな」
ノートPCを抱えてワンフロア上のミーティングルームへと向かう。
「今日紹介ですかね、新しい人。どんな人っスかね~。システムチームにも人入るんですよね」
「みたいだな。そっちは新卒も含めて2名らしいから、先輩としてがんばれよ?」
「もちろんっす!って俺ももうこの会社3年目ですからね?!」
「だな、もう大先輩様だ」
「そ、それは違いますって~~!プレッシャーかけないでくださいよぉ」
椋太は階段を登りながら、わざとらしくうなだれている水瀬の肩を叩いた。
ミーティングルームのあるロビーに出ると、丁度エレベーターで2フロア下から上がってきた澤村たちにも出くわす。
「よ」
気軽に声をかけると、澤村は無言で軽く頭を振る。
下手すれば態度が悪く見えかねないが、きちんと目をみて頭を下げるため、そこまで気にならない。
「相変わらず澤村さんって無口っすねぇ」
小声で水瀬が言うのを、まあな、と適当に相槌を打つ。
ミーティングルームに入ると、既に数人が席についており、椋太たちもメディアボードの前方に腰掛けた。
10時ぴったりに事業部長が入ってくると、ざわついていた空気が静まり返った。
「じゃ、いつもの定例ミーティングを始める。とその前に、話は聞いてるだろうけど3人ほど本プロジェクトに新規メンバーがアサインされたから、軽く挨拶の時間を取らせてくれ。じゃあシステムの品川と金入から」
促されて、チェックのシャツを着た眼鏡の男と、タイなしの白いワイシャツを着た若い男が席を立った。
「……メディアシステム部の品川です。得意言語はRubyですが、Cも書きます。よろしくお願いします」
あまりやる気がなさそうには見えるが、プログラマ系は雰囲気を裏切って仕事ができる天才タイプが多いからな、と椋太はあまり気にせずによろしくお願いします、と手を叩いた。
「同じくメディアシステム部の金入です!今年の新卒なのでわからないことばかりですが、よろしくお願いします!」
今度は先輩と打って変わって元気の良さそうな若者だった。童顔でコロコロ変る表情は愛されそうなタイプに見える。
同じように小さく拍手が部屋に響いた。
「あとは営業にも1名。小原」
先程より部屋の後方で妙な威圧感を醸し出していた大きな体が立ち上がる。
チャコールグレーのスーツに軽く後ろに流した黒髪の男は、185を優に超える大きさでなんとなく圧倒される。
とはいえ太っているわけでもものすごく筋肉質なわけではなく、小顔でとてもスーツが似合うスマートさがあった。
「おはようございます」
おはようございます、とパラパラと全員が答える。
「開発営業部の小原です。まだ前のプロジェクトのクローズ作業中ですので席移動は来週以降になりますが、少しづつ覚えていきますのでよろしくお願いします」
そう言うと、イケメンというよりはハンサムといった表情でシニカルな笑顔を浮かべると、席に戻っていく。
(なんというか……いけ好かない感じだな)
その少しかんに障る表情に、珍しく椋太は少しだけ苛立ちを覚えたのだった。
朝からプロジェクトのミーティングが入っていたため、少し早めに出勤する。
グループウェアで会議室の場所を確認して席を立つと、丁度後輩の水瀬も席を立ったところだった。
「あ、もういきます?」
「ああ、そうだな」
ノートPCを抱えてワンフロア上のミーティングルームへと向かう。
「今日紹介ですかね、新しい人。どんな人っスかね~。システムチームにも人入るんですよね」
「みたいだな。そっちは新卒も含めて2名らしいから、先輩としてがんばれよ?」
「もちろんっす!って俺ももうこの会社3年目ですからね?!」
「だな、もう大先輩様だ」
「そ、それは違いますって~~!プレッシャーかけないでくださいよぉ」
椋太は階段を登りながら、わざとらしくうなだれている水瀬の肩を叩いた。
ミーティングルームのあるロビーに出ると、丁度エレベーターで2フロア下から上がってきた澤村たちにも出くわす。
「よ」
気軽に声をかけると、澤村は無言で軽く頭を振る。
下手すれば態度が悪く見えかねないが、きちんと目をみて頭を下げるため、そこまで気にならない。
「相変わらず澤村さんって無口っすねぇ」
小声で水瀬が言うのを、まあな、と適当に相槌を打つ。
ミーティングルームに入ると、既に数人が席についており、椋太たちもメディアボードの前方に腰掛けた。
10時ぴったりに事業部長が入ってくると、ざわついていた空気が静まり返った。
「じゃ、いつもの定例ミーティングを始める。とその前に、話は聞いてるだろうけど3人ほど本プロジェクトに新規メンバーがアサインされたから、軽く挨拶の時間を取らせてくれ。じゃあシステムの品川と金入から」
促されて、チェックのシャツを着た眼鏡の男と、タイなしの白いワイシャツを着た若い男が席を立った。
「……メディアシステム部の品川です。得意言語はRubyですが、Cも書きます。よろしくお願いします」
あまりやる気がなさそうには見えるが、プログラマ系は雰囲気を裏切って仕事ができる天才タイプが多いからな、と椋太はあまり気にせずによろしくお願いします、と手を叩いた。
「同じくメディアシステム部の金入です!今年の新卒なのでわからないことばかりですが、よろしくお願いします!」
今度は先輩と打って変わって元気の良さそうな若者だった。童顔でコロコロ変る表情は愛されそうなタイプに見える。
同じように小さく拍手が部屋に響いた。
「あとは営業にも1名。小原」
先程より部屋の後方で妙な威圧感を醸し出していた大きな体が立ち上がる。
チャコールグレーのスーツに軽く後ろに流した黒髪の男は、185を優に超える大きさでなんとなく圧倒される。
とはいえ太っているわけでもものすごく筋肉質なわけではなく、小顔でとてもスーツが似合うスマートさがあった。
「おはようございます」
おはようございます、とパラパラと全員が答える。
「開発営業部の小原です。まだ前のプロジェクトのクローズ作業中ですので席移動は来週以降になりますが、少しづつ覚えていきますのでよろしくお願いします」
そう言うと、イケメンというよりはハンサムといった表情でシニカルな笑顔を浮かべると、席に戻っていく。
(なんというか……いけ好かない感じだな)
その少しかんに障る表情に、珍しく椋太は少しだけ苛立ちを覚えたのだった。