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生意気な年下にうっかり惚れられまして。2年目!

「昨日は、ごめん」

コーヒーの入ったマグカップに目線を落としたまま切り出す。

「何がだ?」
「だから、色々わけわかンねーこと言って追い出しただろっ」

普通に返されてしまい、思わず言葉が荒くなる。

「っと、その」

(あー面倒くせぇ、全部一から経緯はなすぞ)

どう切り出したらいいか柄にもなく冷静になれないでいた椋太だったが、一度腹を決めればもう迷うことは無かった。

「俺として伝えたいのは、まずは取り乱して、意味不明なことをいってしまってごめんということ。
そして、俺としては仲直りをしたいというか、この理由分からない感じになっているのをちゃんと説明したいということだ」
「――それで?」

無表情での促しに、一瞬怯むが、仕事の時と同じと思えばなんとかなる気がした。

「昨日の事をまずは最初から時系列で説明させてくれ、経緯報告書みたいなもン」
「ああ。……仕事みたいだな」
「仕事と一緒だよ」

ちょっとした軽口で少し浮上する。

「まずは、念のため齟齬なく、二度目になって申し訳ないけど最初から。
まずは一昨日、営業帰りに小原と飲むことになった。ンで、終電ヤバくなったから泊めることになった。
せっかくだからついでにケツもないわけだし、家でも飲むことになった」

ここは軽く端折って伝える。
澤村は身体を少しこちらに向けて、見ているのがわかる。

これは一応言っておかないと、とちょっとだけ嫌だったが言葉にする。

「飲んでる時に、まあ……小原さんに告られた」
「それは聞いていないな」

澤村の目が少し眇められる。
その視線にビクリとしながら、椋太は姿勢を正した。

「昨日は売り言葉に買い言葉ってか売ってないか?まあそんなんでちゃんと説明してなかったから」
「断ったんだろうな」
「もちろんだッ」
「それならいい」

勝ち誇ったような得意げな顔に椋太は思わず少し笑む。

「まあ、付き合わないかっていわれたけど、断った。ンで、澤村と付き合ってるだろって言われた」
「……知ってたのか」
「俺もびっくりしたよ。まあ……なんだ。俺が……澤村のこと見てるのに気づいた、らしい」
「そうか」

澤村は少し満更でもなさそうな顔を浮かべる。

「小原さんは紳士だったよ。すぐ身を引いてくれたっつーか。普通の同僚としての対応に戻してくれたよ」

一息つきたくて、椋太はコーヒーをまた一口すする。

「んでまあ、飲み会はお開きになって。小原さんにはソファと毛布を提供して、ここで寝てもらった。んで、俺はベッドに寝た」
「ああ」
「夜中っつーか、朝方にトイレ行きたくなって俺たぶん起きて。そのまま眠くてソファでたぶん寝てしまったんだよ」
「……それで、朝」
「そ。まあビミョーに寒かったのかな。くっついて寝ちゃって」

俺だって驚いたんだ、起きた時に。と椋太はぼやく。

「んでまあ、澤村が昨日うちに来てって流れ」
「そうか」
「経緯報告はこれで終わり!で、ココからは俺の所感な」

変わらず仕事のような流れに、また少し澤村の唇が持ち上がる。
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