生意気な年下にうっかり惚れられまして。2年目!
案外と喋れるタイプであった小原と思いの外話は盛り上がり、酒も進んだ。
タイミングよく返されるレスポンスは気持ちよくかつスムーズに会話が進み、小原の頭の回転の良さを感じる。
何時もより多めに焼酎を飲んでることを、少しふわり浮遊感を伴っていることで気づく。
「あ……もう12時すぎてるじゃないですか」
おあいそで、と声をかけてとりあえず払おうとすると、僕がお声掛けしたので、と小原は多めに負担してくれた。
(案外と良い奴だったなあ)
「しまった、終電厳しいですね」
支払いをして慌てて外にでると、時計は12時40分を指している。
1時までやっている店とはいえ、長居しすぎたようだった。
「終点まではいけますが、その先がもうない。タクシーでも捕まえます」
小原の家は今いる最寄り駅のさらに先、乗り入れしている私鉄に乗り換えた先だ。
さして距離的には遠くはないとは言え、さすがに1回の飲み会程度となる割増料金のタクシーに乗せるのは気が引ける。
「うち、すぐそこですから。どうせ明日休みですし電車動くまで泊まってきません?布団もありますよ」
酒の力で打ち解けた安心感から、つい声をかける。
たまに後輩を泊めることもある椋太の家には、一組の客用布団を用意している。
ちょくちょく週末にくる澤村は椋太のダブルベッドに入り込むため、最近はあまり使っていなかったが、定期的に干してはいたので使用には問題がなかった。
「いえ、流石にお邪魔するのは申し訳ない」
「いいんですよ、楽しくてつい飲ませすぎましたから。といってもまだまだ飲めるし、なんならうちで二次会します?」
小原が変に気兼ねしないよう気安い口調で言う。
「では、お言葉に甘えて。それであれば僕が負担しますので、もう少し続き、家で飲みますか」
「ではそれが小原さんの宿泊代で!じゃあレッツゴー!」
意識を保っているとはいえ、存分に飲んで何時もよりも気が緩くなっていることを自覚しながら、椋太は小原を連れ帰った。
「さて続きですよ~、花金だし、もう終電気にしなくていいですし飲んじゃいましょ」
椋太がコンビニで手に入れたワインのボトルを手に持ち陽気に振ると、小原は薄く微笑む。
500円以下と安かったわりにはうまくて気に入っている生ハムのパッケージを開けると、皿にも並べずに一枚すくい、椋太はぺろんと口に運び入れる。
「白井さんは可愛いと思ってましたけど、酔うともっと可愛いんですね」
「は?かわいいってなんスか。小原さんこそ、そうやって笑ってたほうがかわいくていい」
それは今日客先へいくときや飲んでいて発見したことだった。
普段はシニカルな微笑みが多く、嫌味かと椋太も思っていたが、案外と打ち解けてみるとその上品な顔が微笑むのは案外とギャップがあって親しみやすい感じがした。
「そんな普段怖い顔をしていますか?」
「ええ、小原さんいっつも嫌味ったらしー顔して」
理性の緩くなった椋太の口から、つい本音が飛び出てしまう。
「意識していないんだが。それは失礼しました」
「うん。そう」
赤ワインを口に含むと、ふわっと華やかな香りに椋太は笑みをこぼす。
「白井さんのほうがやはり可愛いですよ、というか色気がすごい」
「はあ……ありがとうございます」
「元々好きでしたけど、もっと好きになりました」
「どうもどうも、嫌われたと思っていたので意外です」
小原の刺さるような物言いには、なにか恨みをかったかとばかりに思っていたので、好意を示されることが意外だった。
「ええと、白井さんわかってますか。同僚としての好きではないんですが」
「え、やっぱ嫌いだった?残念、俺結構今日1日で小原さん悪く無いかなーって思ってたのに」
「それはありがとうございます、嬉しいです。いえ、そうではなくて、恋人にしたいという意味で好きといったんです」
「恋人……恋人………?!」
大分遅れながらも、ようやく酔った椋太の頭にも意味がじわじわと浸透してくる。
「小原さん、ゲイなんですか?」
「そこですか?まあいいですが、そうです。元々ゲイですよ」
さらっとしたカミングアウトに少しだけ酔いが覚める。
タイミングよく返されるレスポンスは気持ちよくかつスムーズに会話が進み、小原の頭の回転の良さを感じる。
何時もより多めに焼酎を飲んでることを、少しふわり浮遊感を伴っていることで気づく。
「あ……もう12時すぎてるじゃないですか」
おあいそで、と声をかけてとりあえず払おうとすると、僕がお声掛けしたので、と小原は多めに負担してくれた。
(案外と良い奴だったなあ)
「しまった、終電厳しいですね」
支払いをして慌てて外にでると、時計は12時40分を指している。
1時までやっている店とはいえ、長居しすぎたようだった。
「終点まではいけますが、その先がもうない。タクシーでも捕まえます」
小原の家は今いる最寄り駅のさらに先、乗り入れしている私鉄に乗り換えた先だ。
さして距離的には遠くはないとは言え、さすがに1回の飲み会程度となる割増料金のタクシーに乗せるのは気が引ける。
「うち、すぐそこですから。どうせ明日休みですし電車動くまで泊まってきません?布団もありますよ」
酒の力で打ち解けた安心感から、つい声をかける。
たまに後輩を泊めることもある椋太の家には、一組の客用布団を用意している。
ちょくちょく週末にくる澤村は椋太のダブルベッドに入り込むため、最近はあまり使っていなかったが、定期的に干してはいたので使用には問題がなかった。
「いえ、流石にお邪魔するのは申し訳ない」
「いいんですよ、楽しくてつい飲ませすぎましたから。といってもまだまだ飲めるし、なんならうちで二次会します?」
小原が変に気兼ねしないよう気安い口調で言う。
「では、お言葉に甘えて。それであれば僕が負担しますので、もう少し続き、家で飲みますか」
「ではそれが小原さんの宿泊代で!じゃあレッツゴー!」
意識を保っているとはいえ、存分に飲んで何時もよりも気が緩くなっていることを自覚しながら、椋太は小原を連れ帰った。
「さて続きですよ~、花金だし、もう終電気にしなくていいですし飲んじゃいましょ」
椋太がコンビニで手に入れたワインのボトルを手に持ち陽気に振ると、小原は薄く微笑む。
500円以下と安かったわりにはうまくて気に入っている生ハムのパッケージを開けると、皿にも並べずに一枚すくい、椋太はぺろんと口に運び入れる。
「白井さんは可愛いと思ってましたけど、酔うともっと可愛いんですね」
「は?かわいいってなんスか。小原さんこそ、そうやって笑ってたほうがかわいくていい」
それは今日客先へいくときや飲んでいて発見したことだった。
普段はシニカルな微笑みが多く、嫌味かと椋太も思っていたが、案外と打ち解けてみるとその上品な顔が微笑むのは案外とギャップがあって親しみやすい感じがした。
「そんな普段怖い顔をしていますか?」
「ええ、小原さんいっつも嫌味ったらしー顔して」
理性の緩くなった椋太の口から、つい本音が飛び出てしまう。
「意識していないんだが。それは失礼しました」
「うん。そう」
赤ワインを口に含むと、ふわっと華やかな香りに椋太は笑みをこぼす。
「白井さんのほうがやはり可愛いですよ、というか色気がすごい」
「はあ……ありがとうございます」
「元々好きでしたけど、もっと好きになりました」
「どうもどうも、嫌われたと思っていたので意外です」
小原の刺さるような物言いには、なにか恨みをかったかとばかりに思っていたので、好意を示されることが意外だった。
「ええと、白井さんわかってますか。同僚としての好きではないんですが」
「え、やっぱ嫌いだった?残念、俺結構今日1日で小原さん悪く無いかなーって思ってたのに」
「それはありがとうございます、嬉しいです。いえ、そうではなくて、恋人にしたいという意味で好きといったんです」
「恋人……恋人………?!」
大分遅れながらも、ようやく酔った椋太の頭にも意味がじわじわと浸透してくる。
「小原さん、ゲイなんですか?」
「そこですか?まあいいですが、そうです。元々ゲイですよ」
さらっとしたカミングアウトに少しだけ酔いが覚める。