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生意気な年下にうっかり惚れられまして。2年目!

「仕方ない、そういうのを汲み取って提案するのも俺たちの仕事だ」

呆れ気味に、でも少し微笑んだ。

「あーーーーそういうのだよ!」

大声をあげた椋太に、澤村は少し驚いたように目を開く。

「なんだ、素っ頓狂な声をあげて」
「その表現オッサンくさいな」
「……」

少し気にしているのか澤村は顔をしかめる。

「あ、本題ずれた。そうそう、澤村は口はアレだし表情も無いけど、そういうちょっと笑ったりすればモテんのになあって思ったんだよ」

(一重で目もややキツイので一見怖そうに見えるけど。逆に言えばクールといえるし、実は情に熱かったり真面目な部分とかがもっと見えると取っ付き易いんだけど)

自分も最初に若干癇に障った方なので余計にわかるが、もう少し表情を柔らかくすればいいのに、もったいないな、と椋太は澤村に思っていたのだ。

「……モテなくてもいい」
「えーっとそういうモテじゃなくて。あんまお前がモテすぎても嫉妬しそうだし」
「……ストレートだな」

澤村の口はそっけなかったが、少しだけ嬉しそうにする。
その雰囲気はしっぽを振っている犬のように、椋太には見える。

「女モテっつーより、人にモテるに越したことはないだろ?俺みたいに八方美人なのもどうかと思うけど、好感度は上げておいた方がいいし、人に好かれたほうが何かあった時に上手くいくだろ、足引っ張られないっつーか」
「白井さんは八方美人じゃないだろ」
「そうか?……ってそこかよ」
「八方美人は当たり障りがない人だろ。白井さんはちゃんと相手のこと考えて喋ってるだろう」

論点はそこではなかったが、真剣に話す様子に椋太の心はほんのり温かくなる。

「ありがと。そう思ってもらえるのは嬉しいよ」

逆にストレートに褒められると少し気恥ずかしい。

「まあ、なんだ。俺も好きな人が好かれるのは嬉しーし」

椋太は照れたように頬を指で掻く。

「白井さんは――」
「ん?なんだ?」

名前を呼びかけながらも口ごもる澤村。

「女の人にもモテるけど、男にもモテるから、たまに心配になる」
「はあ?!」

(そりゃあ女子にはそれなりにウケが良いように振る舞ってきたことは否めないが、男はないだろ?!)

突然澤村が言い出した言葉に驚く。

「小原さん、白井さんのこと気に入ってるし」
「はあっ……?!それこそ一番ナイナイ。むしろこっちのお手並み拝見って感じでイヤーな感じに重箱の隅をつついてくるし、仕事のことちゃんと考えてるんだろうけど、それにしてはやっぱ意地が悪いなっておもうよ」

思い返してみるとふつふつと怒りが甦ってくる。
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