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生意気な年下にうっかり惚れられまして。2年目!

柄にもなく感傷的になるが、そうも言っていられないと気を引き締める。

(今のところ仕事もある程度は落ち着いて、休出もないし。休日にしっかり澤村とは話そう。まずは仕事だ)

「そろそろ行きます?」

水瀬の声に腕時計を見ると、打ち合わせの5分前になっていた。

「ああ」

相槌をうちながら小原の方を見ると、向こうも丁度席をたつところだった。
軽く目配せすると、わかっているという風に頷く。



「さて、今後どう顧客を増やしていくか、戦略を改めて説明するとともに、現時点で考える今後の戦術について話させて下さい」

先月事業部長の神崎、水瀬とともにある程度現時点での問題点を洗い出した上に決めた戦術を、主に小原に向けて説明する。
念のため事業部長にも同席してもらっているが、基本は営業部のリーダーである椋太が進行した。

「……というような方法で新規顧客へのアプローチをまずは実施していこうと思っています」

一通り説明すると、何か質問があればと小原へ促した。

「……」

小原を見やると、少し険しそうな顔で眉間に皺を寄せている。

(なにか……問題でもあるのか……?)

椋太はにわかに不安になる。
何しろ相手はエースだ。何かしら客観的に見て問題となることなどは見逃すはずはないだろうと椋太も最初からスムーズには行かないだろうとは踏んでいたが。

「管理システム自体については我々はパイオニアでもなんでもないですし、新しめの小さな会社狙いでの新規開拓は重要かと思いますが。既存顧客に対しても、別のやり方でアプローチはしたほうが良いかと」

言っている内容は意見として至極まっとうであったが。

(なんでまぁ、毎回嫌味ったらしい言い方できるんだ……この男は)

「と言いますと。例えばどのようなアプローチの仕方が効果的と思われますか?」

椋太は表情が引きつりそうになるのをなんとか押さえ、続きを促す。
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