生意気な年下にうっかり惚れられまして。2年目!
桜の花は散り去り、青々とした葉が陽の光を透かせて地面にランダムに光と影を落とす晴れた日。
空は青く鮮やかにビル群の隙間を彩っていた。
通勤する人たちが多く行き交う比較的新し目のオフィス街。
椋太が勤めるビルもすぐ見える駅出口で、椋太は木漏れ日から差し込む朝の光に目を眇めた。
「白井さん!おはようございますっ」
昨年よりアサインされている同じプロジェクトの営業の後輩、水瀬が駆け寄ってくる。
椋太よりやや低めの背に人懐っこい笑顔の後輩は、焦げ茶の少し眺めの髪が走るリズムと同じように跳ねていて楽しそうだ。
「おはよう、水瀬」
「白井さん今日も決まってますね~。その色のシャツ、なかなか合せて着こなせる人は少ないっスよ!さては~退社後はデートっスか?」
調子の良い言葉に思わず椋太は苦笑しつつも少し胸が驚きで跳ねる。
「いや、飯はいくけど男とだよ」
「えーーー。てっきりデートか合コンかと思ったのに」
(たーまに水瀬は鋭いからな……気をつけないといけないな……)
そう思うのも、実際椋太はノー残業デーである今日、澤村とご飯の約束をしていた。
先日付き合い始めたばかりの彼とは改めて外でご飯というのも初めてで、少しだけ早起きをして格好を確認していた自分が恥ずかしくなる。
(初めてのデートじゃあるまいし)
無意識に自分が取っていた行動に少し呆れつつも、一応は付き合いたてということで仕方ないかと自分を納得させた。
「あ、あそこにいるの澤村さんじゃないッスか」
振り返ると、丁度バイクから降りてヘルメットを脱いだばかりの黒く大きな体が目に飛び込んでくる。
艶やかな黒と銀の大型バイクは、背が高くしなやかな筋肉を持つ彼にとても似合っていて、黒の薄手のライダースとダークカラーのジーンズという組み合わせと共に、強くてしなやかな獣のようだった。
「さり気なくかっこいいンスよね、澤村サン。無口で怖いけど。っ悪口じゃないっスよ?!」
「分かってる」
システムの澤村と直接的な交渉はどちらかというと椋太が主体となってしており、彼がどういった人物なのかは水瀬にとってはまだわかりづらいのは仕方がなかった。
ましてや椋太に対しても普段仕事中、キツイ口調で反対したりと、仕事に対して真剣だからこその発言も周りから見た時の印象としては怖いという方が多いのはわかっていた。
じっと黒い影を見つめていると、こちらにきづいた澤村がバイクを押しながらこちらに近づいてきた。
「おはよう。白井さん」
「おはよう、澤村」
じっと椋太を見つめる瞳はやはり何を考えているか読みづらく、怒っているようにも見える。
「えーっと……俺もいるんスけど~」
「おはよう、水瀬さん」
「あ、お、おはよう、澤村さん」
同い年のはずなのに大型犬と子犬のような澤村と水瀬の様子に少し笑ってしまう。
「あ、白井さん、変なこと考えたでしょ~ひどいなあ」
「別にそんなことないよ、かわいいなって」
「かわいいって褒め言葉じゃないッスよ……」
ぼやく様子も嫌味がなく人好きする感じがみんなに好かれるんだろうな、と椋太は水瀬をそう分析した。
(澤村にもうちょっと水瀬みたいな人懐っこさがあれば……ってそれはそれで気持ち悪いか)
自分でそう思いながらひどいな、と笑う。
空は青く鮮やかにビル群の隙間を彩っていた。
通勤する人たちが多く行き交う比較的新し目のオフィス街。
椋太が勤めるビルもすぐ見える駅出口で、椋太は木漏れ日から差し込む朝の光に目を眇めた。
「白井さん!おはようございますっ」
昨年よりアサインされている同じプロジェクトの営業の後輩、水瀬が駆け寄ってくる。
椋太よりやや低めの背に人懐っこい笑顔の後輩は、焦げ茶の少し眺めの髪が走るリズムと同じように跳ねていて楽しそうだ。
「おはよう、水瀬」
「白井さん今日も決まってますね~。その色のシャツ、なかなか合せて着こなせる人は少ないっスよ!さては~退社後はデートっスか?」
調子の良い言葉に思わず椋太は苦笑しつつも少し胸が驚きで跳ねる。
「いや、飯はいくけど男とだよ」
「えーーー。てっきりデートか合コンかと思ったのに」
(たーまに水瀬は鋭いからな……気をつけないといけないな……)
そう思うのも、実際椋太はノー残業デーである今日、澤村とご飯の約束をしていた。
先日付き合い始めたばかりの彼とは改めて外でご飯というのも初めてで、少しだけ早起きをして格好を確認していた自分が恥ずかしくなる。
(初めてのデートじゃあるまいし)
無意識に自分が取っていた行動に少し呆れつつも、一応は付き合いたてということで仕方ないかと自分を納得させた。
「あ、あそこにいるの澤村さんじゃないッスか」
振り返ると、丁度バイクから降りてヘルメットを脱いだばかりの黒く大きな体が目に飛び込んでくる。
艶やかな黒と銀の大型バイクは、背が高くしなやかな筋肉を持つ彼にとても似合っていて、黒の薄手のライダースとダークカラーのジーンズという組み合わせと共に、強くてしなやかな獣のようだった。
「さり気なくかっこいいンスよね、澤村サン。無口で怖いけど。っ悪口じゃないっスよ?!」
「分かってる」
システムの澤村と直接的な交渉はどちらかというと椋太が主体となってしており、彼がどういった人物なのかは水瀬にとってはまだわかりづらいのは仕方がなかった。
ましてや椋太に対しても普段仕事中、キツイ口調で反対したりと、仕事に対して真剣だからこその発言も周りから見た時の印象としては怖いという方が多いのはわかっていた。
じっと黒い影を見つめていると、こちらにきづいた澤村がバイクを押しながらこちらに近づいてきた。
「おはよう。白井さん」
「おはよう、澤村」
じっと椋太を見つめる瞳はやはり何を考えているか読みづらく、怒っているようにも見える。
「えーっと……俺もいるんスけど~」
「おはよう、水瀬さん」
「あ、お、おはよう、澤村さん」
同い年のはずなのに大型犬と子犬のような澤村と水瀬の様子に少し笑ってしまう。
「あ、白井さん、変なこと考えたでしょ~ひどいなあ」
「別にそんなことないよ、かわいいなって」
「かわいいって褒め言葉じゃないッスよ……」
ぼやく様子も嫌味がなく人好きする感じがみんなに好かれるんだろうな、と椋太は水瀬をそう分析した。
(澤村にもうちょっと水瀬みたいな人懐っこさがあれば……ってそれはそれで気持ち悪いか)
自分でそう思いながらひどいな、と笑う。
1/30ページ