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ボーイズ・イン・ブルー

「滝沢はあいつの話を聞いてどう思ったの?」

それは責めるようなものではなく、むしろ静への気遣いに満ちた声だった。

「……俺、は。千尋と少しでも対等でいたいと思う。……それが千尋と同じ気持ちかどうかは分からないけど、できればずっと、千尋と一緒にいたいと思ってる」

ありのままの思いの丈を吐き出すと、梶ヶ谷の口元に小さな笑みが乗る。

「別に、今後のことはあいつと一緒に考えればいいんじゃないの?これからも一緒にいたいっていうなら、尚更」
「千尋と……?」
「今の、そのままあいつに言ってやんなよ。きっと尻尾振って喜ぶから」

そうして明確に言われてみて、静は自分が一人で悩んでいるばかりだということに改めて気付かされた。

――これからのことを二人で決めればいいだなんて、思いつきもしなかった。

千尋の告白と梶ヶ谷の言葉がなかったら、大事な存在だからこそきちんと気持ちをぶつけなくてはならないのだということに、自分はこの先ずっと気付くことができなかったかもしれない。そう思うと、今すぐにでも千尋に会いに行かなければならない気がした。

「あいつはずっと滝沢のこと待ってるよ」という梶ヶ谷の言葉に後押しされ、静の足が自然と動き出す。
じきに早足になり駆けていくさなか、静が「ありがとう」と一言伝えると、梶ヶ谷はいつもの低体温な表情に戻っていて、気だるげにひらひらと手を振ってみせた。

半開きになっている音楽準備室のドアを、バン、と盛大な音を立てて威勢よく開ける。転がるように室内に飛び込んできた静の姿に、千尋が大きな丸い目を白黒させている。

「え、シズ……?」

千尋の間抜けに開いた口から落ちた呼び掛けには答えず、ずんずんと一直線に距離を詰めていく。体が勝手に動くとはこういうことなのかと思うほど、静の手足はなめらかに千尋の方へ向かっていった。普段であれば考えられないほどの勢いの歩調に、千尋だけでなく静自身も驚いていた。

アコースティックギターを抱えて椅子に腰掛ける千尋の前に立ち、静は大きく息を吸う。

「……千尋、俺、逃げてばっかりでごめん。思ってることは、ちゃんと言わないと駄目だって、やっと気付いた」

見下ろしている千尋の顔に、静の長い前髪が影を作る。
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