ボーイズ・イン・ブルー
「……梶ヶ谷は、どこまで知ってるの」
「事実っていう意味合いなら、多分ほとんど全部。もちろん俺は千尋側の状況しか知らないけどね」
「それ、千尋に聞いたの?」
「あいつが滝沢をそういう意味で好きだって言うのは本人の口から聞いたけど、その後のことは推測。まあ、お前ら見てれば何となく分かるよ」
「梶ヶ谷、よく周り見てるもんね」
千尋と自分の間に起きた出来事がほぼ筒抜けであるという事実に対する気恥ずかしさはあるものの、今は状況を知った上でこうして変わらずに接してくれることの方がありがたかった。
「……滝沢があいつのことどう思ってるのか知らないけど。あいつって、多分滝沢が思ってるほど良い奴じゃないよ」
すらりと伸びた足を組み直し、梶ヶ谷が目を伏せる。視線だけで疑問を表すと、やや低いトーンで言葉を継いだ。
「あいつって人を惹きつけるっていうか、そういう謎の力があるんだよね。それは認める。けど、あれで結構人間に対する好き嫌いははっきりしてるし、基本ギターのことしか考えてないんだよね」
「うん、それはちょっと分かるかも。何ていうか、千尋って生活の中心が音楽なんだろうなって」
「そう。だからあいつって周りが思ってる以上に遥かに他人に興味ないし、人当たりが良いだけでそんなに深入りもしないんだよ。まさに広く浅くってやつで」
常よりも饒舌な梶ヶ谷のペースにつられて、静もつらつらと返答を繋げていく。
今梶ヶ谷に言われてみて初めてしっかりと意識した、いつの間にか当たり前になっていた隣に千尋がいる風景。思い返してみれば、出会ってすぐの頃よりも、どんどん目に映る千尋の笑顔が鮮明になっていっているような気がする。
「もしかしなくても、千尋って俺に対してだけ妙に距離が近い……とかそういうこと、あったりする……?」
静の問いに、梶ヶ谷は盛大に溜息を吐いて、明確な呆れを滲ませた表情を向ける。
「あのさあ、それ、本当に今更だから。滝沢ってそのあたりかなり鈍いよね」
「……俺、今まであんまり仲の良い友達とかいたことなかったから」
「まあ、あいつの態度の違いとか分かるのも、不本意ながら俺がずっとあいつと一緒にいるからなんだろうけど……」
そう自嘲するようにそっと呟いた梶ヶ谷は、しかし次の瞬間に、「それで、ここからが本題」と勢いよく音を立ててぱん、と手を叩いた。
「事実っていう意味合いなら、多分ほとんど全部。もちろん俺は千尋側の状況しか知らないけどね」
「それ、千尋に聞いたの?」
「あいつが滝沢をそういう意味で好きだって言うのは本人の口から聞いたけど、その後のことは推測。まあ、お前ら見てれば何となく分かるよ」
「梶ヶ谷、よく周り見てるもんね」
千尋と自分の間に起きた出来事がほぼ筒抜けであるという事実に対する気恥ずかしさはあるものの、今は状況を知った上でこうして変わらずに接してくれることの方がありがたかった。
「……滝沢があいつのことどう思ってるのか知らないけど。あいつって、多分滝沢が思ってるほど良い奴じゃないよ」
すらりと伸びた足を組み直し、梶ヶ谷が目を伏せる。視線だけで疑問を表すと、やや低いトーンで言葉を継いだ。
「あいつって人を惹きつけるっていうか、そういう謎の力があるんだよね。それは認める。けど、あれで結構人間に対する好き嫌いははっきりしてるし、基本ギターのことしか考えてないんだよね」
「うん、それはちょっと分かるかも。何ていうか、千尋って生活の中心が音楽なんだろうなって」
「そう。だからあいつって周りが思ってる以上に遥かに他人に興味ないし、人当たりが良いだけでそんなに深入りもしないんだよ。まさに広く浅くってやつで」
常よりも饒舌な梶ヶ谷のペースにつられて、静もつらつらと返答を繋げていく。
今梶ヶ谷に言われてみて初めてしっかりと意識した、いつの間にか当たり前になっていた隣に千尋がいる風景。思い返してみれば、出会ってすぐの頃よりも、どんどん目に映る千尋の笑顔が鮮明になっていっているような気がする。
「もしかしなくても、千尋って俺に対してだけ妙に距離が近い……とかそういうこと、あったりする……?」
静の問いに、梶ヶ谷は盛大に溜息を吐いて、明確な呆れを滲ませた表情を向ける。
「あのさあ、それ、本当に今更だから。滝沢ってそのあたりかなり鈍いよね」
「……俺、今まであんまり仲の良い友達とかいたことなかったから」
「まあ、あいつの態度の違いとか分かるのも、不本意ながら俺がずっとあいつと一緒にいるからなんだろうけど……」
そう自嘲するようにそっと呟いた梶ヶ谷は、しかし次の瞬間に、「それで、ここからが本題」と勢いよく音を立ててぱん、と手を叩いた。
