生意気な年下にうっかり惚れられまして。
ランチ後の帰り道。
それぞれなんとなく気の合う者同士で歩いていると、澤村がそばに寄ってきた。
「……あの」
「あ、澤村さん。やきそば美味しかったですね」
「……」
(えーと……何か言いたいことでもあるのか?)
つい反射的に話をつなげて黙られて、椋太は少し困った表情を浮かべてしまう。
「……白井さん」
「はい」
妙に凄味のある目で、無駄にごくり、と息を呑む。
「――社内企画コンペの、去年の優秀賞。アンタのだよな」
「そうです。よくご存知ですね」
アンタ、というぞんざいな物言いに少しイラっとしながらも表面上は普通に返答する。
澤村の言うコンペとは、社内で毎年行われている新規企画のアイディア出しコンペのことで、誰でも応募ができる。
幾つか賞が設定されていて、場合によっては実際の企画として走るほか、商品券などの賞品もつくため応募する人も多い。
椋太はこの会社に入ってから、なんとなくなんでもいいから1個は企画を考えて、毎年応募をしていた。
今まで佳作などには引っかかることがあったが、去年は初めて優秀賞を得ることができ、実際のプロジェクトとしては採用されなかったものの、とても嬉しかった事を覚えている。
「あれ、システム面の構成があやふやすぎるんじゃないすかね」
「ハァ?」
思いもよらぬ突然のクレームに、椋太の反発心が煽られる。
「気になってたんだ。あれ、瞬間的にアクセスが集中して、またすぐ開放されるだろ。ロードバランサの設定が……」
「あれはあくまで概要の企画書だけだろ、実際にプロジェクトが走るようなら、その時点でまた考えることだそれは」
空気を読まないような難癖にカチンときて、普段の椋太ではやらないような話の途中で口を挟むことをしてしまう。
「企画段階とはいえ、もう少し実現可能なイメージを書かないとだめだ」
「俺はシステムの専門じゃない。そこまでの想定はできないし、こちらの要件をどう実装するか考えるのはそっちの仕事だ」
「俺はプログラマだからサーバサイドの専門じゃない」
「じゃあ口出すなよっ」
それぞれなんとなく気の合う者同士で歩いていると、澤村がそばに寄ってきた。
「……あの」
「あ、澤村さん。やきそば美味しかったですね」
「……」
(えーと……何か言いたいことでもあるのか?)
つい反射的に話をつなげて黙られて、椋太は少し困った表情を浮かべてしまう。
「……白井さん」
「はい」
妙に凄味のある目で、無駄にごくり、と息を呑む。
「――社内企画コンペの、去年の優秀賞。アンタのだよな」
「そうです。よくご存知ですね」
アンタ、というぞんざいな物言いに少しイラっとしながらも表面上は普通に返答する。
澤村の言うコンペとは、社内で毎年行われている新規企画のアイディア出しコンペのことで、誰でも応募ができる。
幾つか賞が設定されていて、場合によっては実際の企画として走るほか、商品券などの賞品もつくため応募する人も多い。
椋太はこの会社に入ってから、なんとなくなんでもいいから1個は企画を考えて、毎年応募をしていた。
今まで佳作などには引っかかることがあったが、去年は初めて優秀賞を得ることができ、実際のプロジェクトとしては採用されなかったものの、とても嬉しかった事を覚えている。
「あれ、システム面の構成があやふやすぎるんじゃないすかね」
「ハァ?」
思いもよらぬ突然のクレームに、椋太の反発心が煽られる。
「気になってたんだ。あれ、瞬間的にアクセスが集中して、またすぐ開放されるだろ。ロードバランサの設定が……」
「あれはあくまで概要の企画書だけだろ、実際にプロジェクトが走るようなら、その時点でまた考えることだそれは」
空気を読まないような難癖にカチンときて、普段の椋太ではやらないような話の途中で口を挟むことをしてしまう。
「企画段階とはいえ、もう少し実現可能なイメージを書かないとだめだ」
「俺はシステムの専門じゃない。そこまでの想定はできないし、こちらの要件をどう実装するか考えるのはそっちの仕事だ」
「俺はプログラマだからサーバサイドの専門じゃない」
「じゃあ口出すなよっ」